緊急事態宣言から半年後の企業テレワーク実態調査
緊急事態宣言中にテレワークを実施した企業の82%が、現在もテレワークを継続
今後の見通しは「テレワーク導入、継続予定」が過半数、「廃止、縮小、導入予定なし」が34%
「採用人数」を減らす予定、新卒、中途ともに約2割弱
人財サービスのグローバルリーダーであるアデコグループの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川崎 健一郎)は、この度、企業の人事・総務担当者1200名を対象にテレワークの継続状況や採用活動への影響について調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
<現状について>
<調査結果についての見解>
今回の調査では、緊急事態宣言下でテレワークを実施した企業の82%がテレワークを継続している一方で、「廃止、縮小、導入予定なし」については34%いることがわかりました。緊急事態宣言下では、半ば強制的にテレワークへ切り替えた企業が多かったなか、テレワークでもオフィスと遜色なく業務が実施できることを体験した企業では、継続する傾向が見られます。そのため、導入していない企業でも、まずは実証実験のような形で導入し社員がテレワークの有用性を実感することが必要だと考えます。また、テレワークの継続や採用におけるオンラインの活用方法については、大手企業のほうがテレワーク継続やオンラインを活用した採用を実施しており、大手と中小企業との差が浮き彫りになっています。テレワークを導入できない理由として「ノートPCやモバイル機器を社外に持ち出せない」といった回答があり、現行の社内ルールから抜け出せていない状況があることもわかりました。
人口減少時代に突入する日本においては、テレワークの導入をはじめとした働き方の柔軟性を向上させることは、今後働き手からもより重視される施策になるため、企業内でのマインドセットを推進していくことが必要であると考えています。
<調査結果詳細>
【現在の働き方・採用方針について】
企業のテレワーク継続状況:実施企業の82%がテレワークを継続
緊急事態宣言中のテレワーク実施状況について質問したところ、「実施した」と回答した人事・総務担当者は、65.7%でした。さらに、実施していたと回答した788名を対象に、「現在もテレワークを継続しているか」を質問したところ、42.0%が「全社的」に実施していると回答し、「一部の部署のみ(40.0%)」の実施も含めると、82.0%が現在も継続していることがわかりました。
継続していると答えた回答者を企業規模でみると、従業員1000名以上の企業の86.2%、1000名未満の企業では75.6%と企業規模による差があることがわかりました。
出社日の設定:半数以上は、出社日の設定はなく社員の裁量に委ねられている
現在もテレワークを継続していると回答した人事・総務担当者646名を対象に、「勤務先での出社日の設定」について質問したところ、52.5%は「出社日を決めていない」と回答しました。46.6%は「出社日を決めている」と回答し、最も多い設定は「週3日出社」が16.9%という結果でした。
テレワークに対する懸念点:約6割が社員間のコミュニケーション不足を懸念
テレワークを実施する際、経営上でどのような懸念点をもっているかを質問したとこと、最も多かった回答が「社員間でのコミュニケーション不足(58.7%)」、次いで「部署内の連携がとりにくい(47.2%)」、「生産性の低下や業務への影響(43.0%)」と、「セキュリティリスクが高まる(38.3%)」よりも、社員同士のコミュニケーションや生産性といった点を懸念する声が高いことがわかりました。
新卒および中途採用を担当している担当者を対象に、2020年の採用活動について質問したところ、「当初の予定通り採用」と回答したのは新卒では60.9%、中途採用でも約半数にあたる48.8%が回答しました。その一方で新卒・中途採用ともに約3割の担当者が「当初の予定より採用人数を減少」と回答しており、採用活動において変更せざるを得ない状況であったことが分かりました。中途採用においては、18.0%が「未定」と回答しており、いまだに見通しが立てにくいことが伺えます。 また、新卒・中途採用のそれぞれの回答を企業規模別で見てみると、「予定通り採用」の回答では、従業員1000名未満の企業の方が約10ポイント低く、企業規模が小さいほど大きな影響を受けていることがわかりました。
2020年の面接方法について:「オンライン・対面」両方での採用活動が最も多い
新卒および中途採用における採用方法について質問したところ、約半数は「オンライン・対面式の両方」で実施していることがわかりました。1次面接や2次面接はオンラインで実施し、最終面接は対面式で行う等、採用段階によって面接方法を使い分けているケースが多いことが伺えます。
企業規模別で比較すると、企業規模が小さい方が「対面のみ」で実施している割合が高く、採用人数の削減や採用手段の制限によって人財獲得競争で苦戦を強いられていることが推測されます。
【今後の事業方針について】
今後の働き方: 「テレワークの導入、継続予定」が53%と過半数を占めるが、「廃止、縮小、導入予定なし」も34%
人事・総務担当者1200名に今後のテレワークの導入や継続・廃止等、勤務先の方針を聞いたところ、「拡大/導入予定(14.8%)」、「現状を維持(38.4%)」と半数以上がテレワークを導入・継続の意向でしたが、「縮小予定(9.2%)」、「廃止予定(2.0%)」、「導入予定なし(22.8%)」を合わせると34.0%は「廃止、縮小、導入予定なし」と回答しました。 この傾向は、従業員1000名以上の企業より、1000名未満の企業の方がより顕著で、35.7%が「導入をしておらず、導入予定もない」と回答しました。
テレワークに伴う制度の導入: 約40%の企業が「検討中」で、「導入済」はわずか1割
前問で「拡大予定」、「現状維持」と回答した人事・総務担当者638名を対象に、「テレワーク補助などの新しい福利厚生施策等の導入状況」について質問したところ、「導入済み」はわずか10.8%にとどまりました。42.2%が「検討中」と回答し、「実施予定なし」は29.3%とテレワークを継続するにも関わらず、その定着に必要となる施策の整備までには対応ができていない状況が伺えました。
オフィスの維持について: 約半数は「現状維持」、「減床、移転、分散」は10%未満にとどまる
企業のテレワーク導入に伴い、オフィスのあり方を見直す契機にもなっています。そこで、オフィスの移転分散、または減床を検討する企業がどの程度あるのかを人事・総務担当者に質問したところ、51.3%は「現状維持」と回答しました。「減床」は7.1%、「移転・分散予定」は2.5%と合わせて9.6%と10%未満にとどまりました。その一方で、「決まっていない」が26.6%おりまだ判断しきれていない企業が3割近くいることがわかりました。
2021年の採用活動について:新卒、中途ともに2020年と同程度が約4割、「採用人数」を減らす予定は2割超
新卒および中途採用を担当している担当者を対象に、来年2021年の採用予定について質問したところ、新卒では47.8%が「2020年と同程度」の採用を予定していると回答し、中途採用も41.1%は「同程度の採用予定」と回答しました。一方で新卒・及び中途採用それぞれで「2020年より採用人数を減少」、「未定」という回答が2割超あり、まだ新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない状況にあって、採用人数を減少する、または決定できない企業が一定数あることがわかりました。。
※回答結果はパーセント表示を行っており、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、各回答の合計が100%にならない場合があります。
アデコ株式会社 広報部
Tel. 050‐2000‐7024