小さな感謝、小さな感動、小さな改善を毎日毎日積み重ねていくこと。それが僕にとっての「挑戦」です。
心構え次第ですべては決まる
3年間勤めた会社を辞めて書道で生きていこうと決めたのは、25歳の頃です。書道家になってからの最初の挑戦は、路上で書を書くことでした。きっかけはサックスプレーヤーの坪山健一さんの路上演奏を聴いたことです。演奏が終わると、何人かが泣いていて、僕も感動で涙がとまらなくなった。気がついたら、その場で坪山さんに路上でパフォーマンスする方法を質問し続けていました。
でも、最初は本当に怖かった。自分はどう見られているんだろう。僕が書いた書にどんな反応が返ってくるんだろう。遠くから見ているあの人は何を考えているんだろう──。そんなことばかり考えていました。人の心の中は見えませんよね。その見えないものに、僕は怯えていたんです。
そんな恐怖心がなくなったのは、こちらの気持ちが変われば相手の反応も変わるということに気づいてからでした。目の前にいる人のために心を込めて書こう。そう強く念じて書いた書は、相手の心に必ず届くんです。なかには、感動して涙を流してくれる人もいました。こちらが変われば、相手も変わる。ということは、こちらの心構え次第ですべては決まるということです。あの体験で、自分の人生は自分次第だということを心から実感できたように思います。