社員の中にある「挑戦の火種」を見逃すことのない経営者でありたい
個展の経験が教えてくれた挑戦することの意味
何かに挑戦してみたい──。そう考えるようになったのは、商社に勤めて10年ほどが経った頃でした。「挑戦」ということをそれまであまり意識してこなかったのは、会社が居心地のいい場所だったからです。特に大きかったのは、上司の存在でした。とても優秀な人で、その下で働く自分まで偉くなったような錯覚を覚えたものでした。
しかし、その上司がいなくなったら自分はどうなるのだろうと、ある時から真剣に考えるようになりました。私は決して何かに秀でた社員ではありませんでした。英語はほとんどできない、知識が積み重なっていくような業務に取り組んできたわけでもない、手に職もない。だから上司がいなくなれば、会社に居場所がなくなってしまうかもしれない。しかし、会社を出て何かをできるわけでもない──。早めに何か行動を起こさなければならないと、切実に感じたのです。