オリンピックの“レガシー”を将来へつなげて活かしていく。そこにこそ大きな挑戦があるのです
招致活動に専念するためミズノの会長を退任
私がミズノの3代目社長に就任した1988年は、バブル経済が本格化しつつあった時期でした。何をやってもうまくいった時代で、ミズノも新しいビジネスに着手し、事業を拡大しました。
しかし、90年代に入りバブル経済が終焉するとともに、その拡張路線にも終わりが訪れました。私は経営トップとして、会社の規模を縮小させるさまざまな決断をしなければなりませんでした。辛い時期でしたが、これも自分の運命です。受け入れた上で、どうやってそこから最善の結果を引き出せるか。それを考えることこそが大切である──。私の変わらぬ信念です。
幸いにしてミズノは、「優れた機能と高い品質のスポーツ用品を開発して、世界のスポーツ振興に寄与する」という本来の使命に立ち返って、健全な経営を続けることができました。「機能と品質」は、現在もミズノ製品のアイデンティティになっています。