東日本大震災から1年。東北地方では、営業再開にこぎつけた工場や事業所での採用が、思うように進まないケースが目立っています。一方で、失業手当の支給期間は順次終了しており、仕事のニーズはより高まっています。この背景には、建設関係など人材需要が高い職種と求職者の経験を活かせる職種が異なることや、女性からのニーズが高い事務職の求人数の少なさといった「雇用のミスマッチ」があると考えられています。
そういった中、被災地の各自治体では、復興特区制度を活用した企業誘致などを通じて、雇用創出を進めています。宮城県は各種の税制優遇が受けられる「ものづくり特区」の認定を国に申請。県内389地域を対象に、自動車関連産業や電子部品、食品加工など8業種を誘致する計画です。岩手県も同様に、「産業再生特区」創設を国に申請しています。
大震災は、被災地の就職状況だけでなく、日本人の働くことに対する考え方・価値観にも変化をもたらしました。日経HRが就職活動中の学生に実施した調査によると、「震災を機に、企業選択や働くことへの考え方が変化した」と回答した学生は、27.8%。「地元に貢献したい」「企業の震災後の対応をチェックしている」などの意見が目立ちました。34%の学生が「大震災の影響で地元への就職を意識するようになった」と回答した(マイナビ調査)結果もあり、こうした変化が、新卒採用市場にも影響を及ぼしています。