VOL.26:知っておきたい記事の本質

改正労働者派遣法の見方

参院本会議で改正労働者派遣法が成立し、新聞各紙では、その概要や企業に与える影響、派遣業界の動きなどを報じました。

今回の改正法で、30日以内に雇用期間を定めて契約する短期派遣が、家計を支えていない人や学生、高齢者などを除き禁止されました。これにより、企業が需要期に働き手を確保できなくなる恐れがあるとみられています。特に、繁忙期に短期派遣サービスを利用することが多い運送業や流通業などで影響が大きいと考えられます。

厚生労働省の調査によると、改正法で規制対象となる短期派遣として働く労働者数は11年6月時点で6万4,000人(※)。この中には、労働者が希望する仕事と企業側のニーズの相違などにより、他の働き方に転換することが難しい労働者も存在するとみられており、その就業支援が急務になっています。

一方で、派遣社員のキャリア形成を積極的に支援しようとする動きもあります。日本では長らく、労使交渉の枠組みの違いなどから、派遣社員が専門的なスキルの習得やキャリアの形成をしにくいという側面がありました。

こうした状況を変革しようと、人材派遣サービスやアウトソーシング(請負)事業などを手がける人材サービス産業4団体は、今年7月に業界横断的な組織を立ち上げ、派遣社員などの能力開発やキャリア形成支援などの対応を進めていく方針です。

今回の法改正は政治がどう労働市場を変えたかったのかが見えにくい、多様な働き方を認めた上での横断的な政策が必要だ、という論調が新聞各紙で目立ちました。

  • 総労働者数約4,900万人のうち、派遣労働者数が占める割合は92万人(約2%)。上記短期派遣社員は、さらにこの内の7%。
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