昨年11月29日、「日本の新卒一括採用の限界と今後」というテーマで新聞社や出版社の記者を招き、記者懇談会を主催しました。
新卒学生の就職難やミスマッチによる早期離職などの問題が顕在化している現状と課題、その解決策について、若年雇用問題に詳しい慶應義塾大学経済学部の太田聰一教授に登壇いただきました。
太田教授は、「新卒の段階で就職に失敗する、あるいは望んだ職場に入れないと、その後のキャリアにマイナスの影響が大きい。好景気であれば採用が多く、不景気であれば採用が少ないため、大卒時の景気によって、世代間に“格差”が生まれてしまう」と指摘。
「問題を解決するには、再チャレンジ可能な労働市場にしなくてはならない。そのためには、限定正社員などを含む“仕事ベースでの雇用契約の拡大”や、採用時に合否の判断材料とするスキルの要件を透明化していく必要がある」と語りました。
続けて、アデコグループの島村隆志アジア地域人事統括ディレクターが登壇し、「日本の一括採用は世界的にみても稀。たとえばアメリカは通年採用で、新卒としての入社機会も約2年ある」と話し、人事担当者の新卒一括採用を重視するマインドをリセットする必要性を訴えました。
会場の記者からは、「仕事ベースでの雇用契約はどうすれば広がるのか」などといった質問が寄せられ、雇用問題に関する世間の関心の高さが窺える懇談会となりました。アデコでは今後も、このテーマについて深く洞察してまいります。