上位3カ国はスイス、シンガポール、英国-日本は118カ国中22位に都市別ランキングではコペンハーゲンが1位に
アデコグループ、インシアード(INSEAD)、ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)は、世界118カ国の「人材を獲得、育成、維持する能力」を調査しランク付けした年次報告書の最新版、「Global Talent Competitiveness Index(GTCI:人材競争力に関する国際調査)2017」(以下「GTCI 2017」)を発表しました。今回のテーマは「人材とテクノロジー:仕事の未来を形作る」です。
「GTCI 2017」では、テクノロジーの変化が人材競争力に及ぼす影響を探りました。全てのレベルで仕事が機械に取って代わられる状況が続く一方、テクノロジーは新たな機会も生み出しています。しかし、人や企業は、テクノロジーのノウハウ、人との接し方、柔軟性、そして協力が成功の鍵を握る職場環境に適応する必要があります。さらに、この職場環境では、上下関係の代わりに水平なネットワークが新しいリーダーシップの基準となりつつあります。政府や企業は、共にこのような目的に適した教育システムや労働市場政策を構築しなければなりません。
「GTCI 2017」の1位、2位は、2013年の調査開始以来4年連続でスイスとシンガポール、3位には昨年7位だった英国が入りました。日本は22位となりました。上位にランクした国々はいずれも、経済のニーズに合致した教育システム、柔軟性や流動性そして起業家精神を重視する雇用政策、業界や政府のステークホルダーの繋がりといった重要な特徴を持っています。
アデコグループのグループCEOであるアラン・ドゥアズは、次のように話しています。「オートメーションやAIの急速な進歩により、われわれの生活や仕事の仕方において、既存の価値基準を打ち砕くようなこれまでで最も激しい変化が起こっています。この移行には困難が予想されるため、政府や企業は行動を起こさなければなりません。適切な技術、人との接し方、変化に適応する能力を供給するためには、教育システムの改革が緊急の課題です。人生で複数のキャリアを持つことが標準となる世の中になると、労働者は一生を通じて学ぶことで、自己のエンプロイヤビリティ(雇用される能力)を高めなければなりません。同時に、柔軟性を求める雇用者のニーズと社会的保護を結びつけた雇用政策が必要です。企業や政府、教育機関が協力することで初めて、この課題を乗り越え、仕事力を高めて繁栄することができるのです」
日本の結果について
女性がより活躍できるよう、ビジネス環境を改善することが、ランキングアップの鍵
「GTCI 2017」における日本のランクは、調査対象の118カ国中22位となりました。日本は本調査の6つの指標のうち、国内の人材を活用するための外部環境の評価を測った「Enable/活用」は全世界で5位と高く評価されたものの、人材を惹きつけるための魅力を測った「Attract/魅力」が全体で51位と、総合順位を下げる大きな要因となりました。
「Attract/魅力」を構成する評価指標のうち、特に評価が低かったのは「男女の平等」で、「女性の大学院卒業者」が82位、「男女の賃金格差」が63位、「女性に対するビジネスチャンス」は90位という結果でした。OECDによると、日本は男女間の賃金格差がOECD加盟国の中で3番目に大きい国となっています。
厚生労働省は、職階と勤続年数を日本における男女間の賃金格差の主な要因として挙げています。2016年4月に、従業員301人以上の企業や団体に女性管理職の割合の数値目標を義務づけた女性活躍推進法が施行されましたが、優秀な人材を惹きつけ人材競争力を向上させるために、今後も女性の働き方の改善や人事および福利厚生制度の充実が求められます。また、管理職をはじめとした男性従業員に対しては、女性の活躍を支援する意識を持つための教育が必要となっています。
「GTCI 2017」では、調査を開始して以来、初めて世界の都市別に人材競争力のランク付けを行いました(「GCTCI(Global Cities Talent Competitiveness Index)2017」、以下「GCTCI 2017」)。
第一回目(ベータ版)の「GCTCI」では46都市*1を調査し、コペンハーゲン(デンマーク)が1位となりました。2位はチューリッヒ(スイス)、3位はヘルシンキ(フィンランド)でした。アジア太平洋地域では、シドニーとシンガポールが、それぞれ12位と19位に入りました。都市の人材競争力は様々な観点から測定されましたが、トップ10に入った都市は全て、生活の質が高く、コネクティビティに優れ、国際的に活躍できる機会やキャリアも多いという点で共通しています。
「GTCI 2017」の調査結果を分析して明らかになった傾向は次の通りです。
GTCIに関するさらなる情報は、以下のサイトをご参照ください。
www.gtci2017.com
アデコグループについて
スイス・チューリヒに本社を置くアデコグループは、フォーチュン誌のフォーチュングローバル500に選ばれている総合人材サービスのグローバルリーダーです。世界60の国と地域に33,000人の社員と5,100の拠点を擁し、1日あたり70万人以上の派遣スタッフと顧客を結んでいます。アデコグループが提供するサービスには、人材紹介、人材派遣、転職サービス、人材開発、アウトソーシング、そしてコンサルティングがあります。
INSEAD(インシアード)について
INSEADは、世界トップクラスで最大のビジネススクールの1つとして、人、文化、およびアイデアを結集し、生活と組織に変化をもたらします。国際的な視野と文化的な多様性が、当校の研究と教育のあらゆる局面に反映されています。フランス、シンガポール、およびアブダビにキャンパスを有し、3つの大陸にわたり実務教育と研究を行っています。世界40カ国から集まった145人の著名な教授陣が、毎年、MBA、Executive MBA、博士といった学位の取得を目指す1,300人以上の学生に対して授業を行っています。さらに、毎年11,000人以上のエグゼクティブが、インシアードのエグゼクティブ教育プログラムに参加しています。
ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)について
HCLIは、企業がアジアにおいて人材およびリーダーシップの開発を加速する支援を行っています。具体的には、汎アジア的な研究の追及、最先端のエグゼクティブ開発プログラムの作成、実業界、政府、学術界およびコンサルティング業界におけるリーダー間のネットワークの構築を促進しています。HCLIは、シンガポール人材開発省(MOM)、シンガポール経済開発庁(EDB)、およびシンガポールマネージメント大学(SMU)と戦略的アライアンスを結んでいます。
より詳しい情報は、www.hcli.orgをご覧ください。
アデコ株式会社Communication & Branding部
Tel. 03-6743-8085