- 派遣社員の4割以上が、9月30日開始の改正派遣法を「まったく知らない」ことが明らかに -
世界最大※1の人財サービス企業であるアデコグループの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川崎健一郎、以下「アデコ」)は、有期雇用の派遣社員として勤務している全国の派遣社員500人と、全国の企業および団体で派遣社員の採用に関わっている500人を対象に、無期雇用派遣に対する関心や、派遣会社と派遣先企業に求めるもの、また、将来の働き方に関する考えや、同一労働同一賃金に向けた取り組みの進捗状況についてアンケート調査を実施しました。
〈調査結果のポイント〉
派遣社員
派遣社員採用担当者
〈調査実施の背景〉
2013年4月に施行された「改正労働契約法」に基づき、同一の雇用主との間での有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合、当該の雇用者は今年4月1日以降、無期雇用契約の申し入れをすることが可能になりました。これにより、派遣社員が無期雇用に転換されたケースがすでに多くあります。また、2015年9月施行の「改正労働者派遣法」により、同一の派遣社員を派遣先の事業所における同一の組織に派遣できる期間は、3年が限度となりました。派遣会社には無期雇用への転換を含む雇用安定措置が義務付けられ、今年9月30日以降、改正派遣法に基づく派遣社員の無期転換も始まります。
改正派遣法においては、派遣社員に対するキャリアアップ措置も同時に義務付けられたことから、派遣社員がキャリアを積み重ねていくための方法や、将来に向けてキャリアを描けるようになるにはどのように考え、行動するのが良いかが、働き方を考える上でより重要になっていくと考えられます。
また、今年6月に成立した働き方改革法案には、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目的として、同一労働同一賃金の導入が盛り込まれました。大企業では2020年4月から、中小企業においても2021年4月から導入されることとなっており、今後大きな話題となることが見込まれます。
一方、雇用・労働市場に目を向けると、有効求人倍率が44年ぶりの高水準となり、人手不足の加速から、企業間における人財獲得競争が激しさを増しています。
こうした状況を踏まえ、アデコは、有期雇用の派遣社員として勤務している全国の派遣社員と、全国の企業で派遣社員の採用に関わっている社員を対象にしたアンケート調査を行い、無期雇用派遣に対する関心や、派遣会社が何を求められているのか、また、将来の働き方に関する考えや、同一労働同一賃金に向けた取り組みの進捗状況について調べました。
〈調査結果についての当社の見解〉
改正労契法と改正派遣法が施行されたことで、無期雇用への転換が、派遣社員をはじめとする有期雇用契約の働き手と企業の双方で大きな関心を集めています。今回、有期雇用契約で働いている派遣社員に対し、無期転換への意向を尋ねたところ、約6割が無期雇用の派遣社員として働きたいと考えていることが分かりました。その理由として、「安定して働けそうだから」がもっとも多く挙げられており、前述の2つの改正法の目的である雇用の安定を、働く側も求めていることが伺えます。また、企業で派遣社員の採用担当者の約6割は、無期雇用された派遣社員の採用意向があり、その理由のトップは「安定的な労働力が確保できるから」というものでした。派遣社員の採用環境に関しては、約7割が「この1年間で、以前に比べて採用が難しくなった」と回答しており、6割以上が、ある程度の上げ幅であれば派遣料金の値上げを受け入れる考えを示しました。
改正派遣法は、雇用安定措置の義務化だけでなく、派遣社員のキャリアアップ支援が義務化されたことも大きなポイントですが、派遣社員の間での自身のキャリアに対する意識が高いとは言えないようです。派遣社員に対し、改正派遣法で派遣会社に義務付けられたキャリアアップ措置のうち、何にもっとも期待するかを尋ねたところ、約半数が期待するものは「特にない」と回答しました。また、自身のキャリアについても、「将来に向けたキャリアプランや目標がない」との回答が、約7割を占めました。派遣元に対するキャリアアップ措置が義務化されたいま、派遣会社には、派遣社員がキャリア形成に対する意識を高められるよう促し、現在の業務に対するモチベーションの向上にもつながるように支援することが、これまで以上に求められるでしょう。弊社では、派遣社員の専任担当者であるキャリアコーチを増員し、トレーニングを強化するなど、よりきめ細やかなサポートを提供できるよう、事業に取り組んでまいります。
〈調査結果詳細:派遣社員を対象にした調査〉
(1)派遣社員の約6割が、将来的には無期雇用の派遣社員として働きたいと考えている
派遣社員500人に対し、「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思いますか」と質問したところ、18.4%(92人)が「そう思う」、39.0%(195人)が「どちらかといえばそう思う」と回答し、約6割にあたる57.4%(287人)が、将来的には無期雇用の派遣社員として働きたいと回答しました。
(2)無期雇用の派遣社員として働きたい理由は、「安定して働けそうだから」。また、無期雇用になることで派遣会社に期待することは「時給(給与)のアップ」
今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと回答した派遣社員287人に対し、その理由を質問したところ、もっとも多く挙げられたのは「契約の更新を気にせず安定して働けそうだから」(74.9%)でした。また、「無期雇用になることで、派遣会社に期待するものは何ですか」という質問に対してもっとも多かった回答は、「時給(給与)のアップ」(74.9%)でした。
(3)9月30日に開始する「改正派遣法」を、派遣社員の4割以上が「まったく知らない」
派遣社員500人に対し、「改正派遣法について、どれくらい知っていますか」と質問したところ、43.0%が「まったく知らない」と回答しており、多くの派遣社員が、それぞれの働き方に直接かかわる法律の改正を認知していないことが分かりました。
(4)派遣社員の約6割が、現在の時給に不満があると考えている。その理由は、「仕事内容に見合った金額ではないから」
派遣社員500人に対し、「現在の時給には満足していますか」と質問したところ、24.2%が「不満である」、35.2%が「やや不満である」と回答し、約6割にあたる59.4%(297人が、現在の時給に不満を持っていることが分かりました。その理由としては、「仕事内容に見合った金額ではないから」がもっとも多く、約半数の47.5%が時給に不満な理由として挙げました。
(5)派遣社員の約7割が、将来に向けたキャリアプランや目標を持っていない。また、「改正派遣法」で派遣会社に義務付けられたキャリアアップ措置に対し、約半数の派遣社員が特に期待するものがないと考えている
派遣社員500人に対し、「改正派遣法において、派遣元事業主には自社の派遣社員に対するキャリアアップ支援を行うことが義務付けられました。あなたは、将来のご自身の働き方に関して具体的なプランもしくは目標がありますか」と質問したところ、「ない」が19.6%、「あまりない」が45.4%で、派遣社員の65.0%(325人)が、将来に向けたキャリアプランや目標を持っていないことが分かりました。その後、キャリアプランや目標がないと回答した325人に対し、その理由を質問したところ、もっとも多かったのが「予測がつかないため考えても無駄になりそうだから」(33.5%)、次が「何から考えて良いかわからないから」(32.0%)でした。
また、派遣社員500人に対し、「あなたが派遣元事業主にもっとも期待するキャリアアップ措置は、次のうちどれですか」と訊ねたところ、全体の半数近い46.0%の派遣社員が(期待するものは)「特にない」と回答しました。
〈調査結果詳細:企業の派遣社員の採用担当者を対象にした調査〉
(1)企業の派遣社員採用担当者の約7割が、無期雇用の派遣社員を採用したいと考えている
企業で派遣社員の採用に携わっている500人に対し、無期雇用派遣についての認知を質問したところ、80.6%(403人)が「知っている」と回答しました。そして、無期雇用派遣を認知している403人に対し、「無期雇用されている派遣社員を採用したいと思いますか」と質問した結果、68.5%(276人)が「そう思う」と回答しました。
無期雇用の派遣社員を採用したいと考えている276人に対して、その理由を質問したところ、「安定的な労働力が確保できるから」が79.3%ともっとも多い結果となりました。
(2)派遣社員採用担当者の約7割が、この1年で派遣社員の採用が難しくなったと考えている
派遣社員の採用担当者500人に対し、「この1年間で、以前に比べて派遣社員の採用が難しくなったと思いますか」と質問したところ、「そう思う」と回答したのが全体の約7割にあたる67.4%(337人)に上りました。そして、その337人に対し、どんなときに以前より難しくなったと思うかを質問すると、54.6%が「紹介を受ける派遣社員の数が減った」、49.9%が「従来の派遣料金で採用ができなくなった」と回答しました。
(3)派遣社員採用担当者の約7割が、派遣社員の無期雇用化にともなう値上げを受け入れると回答
派遣社員の採用担当者500人に対し、「無期雇用派遣によって派遣料金が値上げされる場合、どれくらいの値上げ幅であれば受け入れますか」と質問したところ、その幅に差はあるものの、約7割が値上げを受け入れると回答しました。「値上げは受け入れられない」と答えた担当者は、19.8%でした。
(4)勤務先における同一労働同一賃金導入に向けた準備は、「進んでいない」が約6割。進んでいない理由は、「他に優先するべき業務が多いから」
派遣社員の採用担当者500人に対し、勤務先での同一労働同一賃金導入に向けた準備の状況を質問したところ、「進んでいない」が17.6%、「あまり進んでいない」が40.6%となり、まだ準備の進んでいない企業が約6割を占めました。その理由としては、「他に優先するべき業務が多いから」が44.7%ともっとも多く、まだ時間的に余裕があると考えている企業が多いことがうかがえる結果とりました。
(5)派遣社員がテレワークをすることについて、派遣社員採用担当者の6割以上が賛成している
派遣社員の採用担当者500人に対し、「派遣社員がテレワークをすることについてどう思いますか」と質問したところ、60.8%(304人)が「賛成」と回答しました。その理由としては、「生産性の向上が期待できるから」が51.6%、「採用難を改善できそうだから」が43.4%となり、生産性向上と人手不足が企業の大きな課題となっていることが、ここでもうかがえました。
アデコ株式会社 広報部
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