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Adecco Group調査により、世界でのAI導入の加速が明らかに

―「時間節約」の認識と現実にギャップ、求められる精度の高い効果測定―

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日本の働き手、AI活用に向けた目的意識とスキル開発意欲で世界に後れ

【2025年10月16日 スイス・チューリッヒ】
Adecco Group(本社:スイス・チューリッヒ、CEO:デニ・マシュエル、SIX:ADEN)はこのたび、6度目となる年次調査レポート「Global Workforce of the Future(2025年版)」を発表しました。「Humanity at work: How to thrive in the AI era(人間らしい働き方:AI時代を生き抜くには)」をテーマにした本レポートでは、AIの進展や目的意識、また人とのつながりが働き方をどのように再定義しているかを明らかにし、変革の中でリーダーの取るべき行動を提示しています。日本を含む世界31カ国21業界の37,500人の働き手から得たインサイトによると、AIツールやAIエージェントの活用が進む中、働き手は平均1日あたり2時間の時間節約を実感していることが分かりました。しかし、こうした現場の認識と企業の実態には乖離があり、生産性向上に対する評価にギャップがあることも明らかになりました。

また、本調査では、従業員がAIを2025年の職場における最も影響をもたらす要因と捉えており、経済の不確実性や柔軟な働き方を上回る影響力があると考えていることが示されました。さらに、従業員のAI活用に対する自信も大きく高まっており、働き手の71%がAI活用に障壁を感じないと回答しました。これは2024年の19%から劇的に増加しました。

主な調査結果:

  • AIによる業務遂行能力の拡張:
    従業員の75%以上が、AIによってこれまでできなかった業務の遂行が可能になったと回答。また、従業員の約75%が、AIによって自身の職務に求められるスキルや業務内容がすでに変化している、あるいは今後変化すると認識。

  • 不確実性は依然として存在:
    回答者の76%がAIは新たな雇用を生み出すと予想し、70%が職務の再設計が進むと回答。一方で、23%は仕事を失うことへの不安を抱えており、安心を求めている。

  • 目的意識と信頼が重要な柱:
    AIが自身の役割に与える影響や、自身の職務が企業戦略とどう結びついているのかを理解している働き手は、離職しにくい傾向が強まる。一方で、プライバシーへの懸念は44%に上昇。

  • 「未来対応型」人財が急増:
    2025年度の調査では、働き手の37%が未来対応型人財となり、前年の11%から3倍以上に増加。

  • 日本の働き手は、目的意識や主体的なスキル開発への意識において世界に後れを取っている:
    • 日々強い目的意識を感じている日本の働き手はわずか17%となり、世界の働き手の回答の平均(46%)を大きく下回った。
    • スキル開発をより主体的に進めたいと考えている割合も14%にとどまった(世界の働き手の回答の平均は34%)。
     
  • 日本の働き手はAIによる時間節約を実感しているが、節約時間・AIエージェント導入見通しともに世界平均を下回る:
    • 日本の働き手は、AI活用により1日あたり平均87分を節約できていると回答。一方、世界の働き手の節約時間は平均2時間。
    • 自社が今後1年以内にAIエージェントを業務に導入すると予測している日本の働き手はわずか19%(世界の働き手の回答の平均は55%)。
        

Adecco GroupのCEOであるデニ・マシュエルは、次のように述べています。「AIは今や私たちの日常の一部となり、その可能性に対する働き手の楽観的な見方も高まっています。しかし、テクノロジーだけでは変革は推進できません。人こそが、すべての変革の中心です。効率性をビジネスの成果へとつなげるためには、リーダーは人財育成とエンゲージメントへの投資が不可欠です。リーダーは、従業員がAIを効果的に活用できるよう、自信と知識を身につけられる環境を整備する必要があります。戦略的にAIを活用すれば、AIは強力なツールとなり、個人の力を引き出し、信頼を育み、より良い職場環境を実現することができます」

未来対応型の働き手
 積極的にスキルアップを図り、新しい技術に適応する「未来対応型の働き手」は、より明確な目標設定やスキルにもとづくキャリア支援を受けていることが、本調査で明らかになりました。
Adecco Group CHROのダニエラ・シーブルックは次のように述べます。「未来対応型の働き手は、明確な目標、測定可能なゴール、継続的な学習機会があることで成長します。雇用主は、AIが個人の成長と人間の可能性を引き出す原動力となるよう、適切なツール、トレーニング、倫理的な枠組みを提供する責任があります。AIを不安の要因ではなく、前向きな変化を牽引する存在とすることが重要です。」

AIに対する期待は高まっているものの、依然として不確実性も残っています。回答者の76%がAIによって新たな雇用が生まれると予測し、70%が職務の再設計が進むと考えている一方で、23%は仕事を失うことへの不安を抱いています。これに対し、ダニエラ・シーブルックは、「真に未来対応型の人財を育成するためには、雇用主は、職務がどのように変化していくのか、そして今後どのようなスキルが重要になるかについて、明確に示す必要があります」と述べています。

AIによって時間を節約できている一方で、働き手の3分の1はその時間を、それまでと同様の、あるいはさらに単純な作業に費やしていることが分かりました。AIの活用によって生まれた効率性を従業員エンゲージメント、すなわち組織への帰属意識や貢献意欲、信頼につなげていくためには、雇用主は従業員が自らの業務の成果や影響を把握できるよう支援し、より意義ある付加価値の高い業務への移行を支援する必要があります。

目的意識の醸成とキャリア開発がリテンションの鍵
調査結果によると、明確な目的意識は人財の定着において極めて重要な要因であることが示されています。自身の役割が企業戦略にどのように貢献しているかを理解している働き手は、より高いロイヤリティを示しており、日々強い目的意識を感じている働き手の99%が今後12カ月間も現職に留まる意向を示す一方、目的意識を感じていない働き手ではその割合は53%にとどまりました。キャリア開発の重要性も高まっており、働き手の3人に1人が明確なキャリアパスがあれば現在の職場に留まると回答しています。これは昨年の22%から大きく増加しています。

AI時代における信頼構築と人間関係の重要性
働き手は業務の自動化やトレーニングにおいてAI活用には前向きな姿勢を示しているものの、キャリアに関する重要な意思決定には依然として人間による判断を望んでいます。調査レポートでは、リーダーや管理職はAIエージェントの活用に前向きである一方で、エントリーレベルの社員は不安を感じており、組織として透明性のあるコミュニケーションと倫理的なガイドラインの整備が不可欠であることが示されています。また、自身の役割への理解が深く、スキル開発に主体的に取り組む「未来対応型」の働き手は、AIへの信頼度が高く、こうした明確さと主体的な関与が信頼構築の鍵となることが明らかになりました。

デニ・マシュエルは次のように述べています。「AI導入はもはや選択肢ではなく、戦略上、不可欠な要素です。持続可能な生産性向上と信頼の維持を両立させるためには、透明性のあるガバナンス、倫理的な枠組み、そして継続的なスキルアップへの投資が欠かせません。こうした取り組みはすべて、人を中心に据えた戦略として進める必要があります。職場環境が進化し続ける中、テクノロジーを活用した雇用主と従業員の協働体制は、レジリエンスを高め、『未来対応型』の人財を育成するうえで重要な役割を果たします」

「Global Workforce of the Future」レポート(英語、および日本語訳版)は、以下のURLより全文をダウンロードすることができます。

【英語版】
URL:https://discover.adeccogroup.com/l/1015522/2025-09-08/5rhdn/1015522/1757342815gEhMa6l8/The_Adecco_Group_GWOF_Report_2025.pdf

【日本語訳版】
URL:https://discover.adeccogroup.com/GWoF25-GlobalReport-jp

Adecco Groupについて
Adecco Groupは、世界60の国と地域で事業を展開する人財サービスのグローバルリーダーとして、働くすべての人々のキャリア形成を支援すると同時に、人財派遣、人財紹介、アウトソーシング、コンサルティングをはじめ、企業の多岐にわたる業務を最適化するソリューションを提供しています。日本においては、アデコ株式会社、AKKODiSコンサルティング株式会社、AKKODiSビジネスサポート株式会社の3つの法人と、Adecco、LHH、AKKODiS、の3つの事業ブランドを通じて、人財派遣、アウトソーシング、コンサルティング、人財育成・組織変革をはじめとするサービスを提供し、すべての働く人々のキャリア開発を支援するとともに、企業の多岐にわたる業務の最適化と業績向上をサポートします。
https://www.adeccogroup.jp/

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