本に関しては、大学時代ですね。僕たちの頃は大学紛争の時代で、授業がほとんどありませんでしたから、平均すれば毎日15時間くらいは読書をしていたと思います。 その後、生命保険会社に入ってからは、当時の大蔵省や日銀との渉外担当になったので、いろいろな人と会って、毎晩夜中まで飲み会をはしごしていました。週末はゴルフを捨ててもっぱら読書、夏と冬の休みになれば、世界を旅して回りました。そうやって「人・本・旅」というスタイルができてきた気がします。
本好きが高じて、僕は今、読売新聞で読書委員をやらせてもらっていますが、なぜビジネス書を取り上げないのか、とよく聞かれます。理由は単純で、面白い本が少ないからです。 僕は「花には香り、本には毒を」という言葉が大好きなんです。香りのない花が味気ないように、毒のない本は面白くありません。心に刺さるところや引っかかるところがなければ、本は面白くない。そういう本がビジネス書には少ないと感じます。本は「役に立つ」ことを求めて読んではいけません。「面白い」ことが本の何よりの価値だと思うのです。