そのプログラムの実践によって、ワーク・エンゲイジメントの一つの柱である「健康」が実現できます。もう一つの「パフォーマンス」をEAPではどのように捉えているのかという点ですが、EAPは米国から始まったもので、もともとは従業員の三つの「A」を防ぐことが目的でした。すなわち、「アブセンティズム(Absenteeism、欠勤症)」「アルコホリック(Alcoholic、アルコール中毒)」、そして「アクシデント(Accident、事故)」です。
ワーク・エンゲイジメントという言葉自体は以前からあったのですが、時に従業員のモチベーションを意味したり、時に満足度を意味したりと、使われ方は一定ではありませんでした。それを2000年くらいに学術的に定義したのが、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ(Wilmar B. Schaufeli)教授です。
エンゲージメントには「愛着」という意味がありますが、自分が属する会社に対する愛着は、一般に「コミットメント」という言葉で表されます。それに対しワーク・エンゲイジメントは、「自分が携わっている職業全般に対する愛着」であるとシャウフェリ教授は定義しました。エンジニア、会計士、コンサルタント、編集者──。そういった職業への愛着がまずあって、それが組織への愛着につながる。それがワーク・エンゲイジメントの考え方です。