1990年代後半から2010年頃にかけて生まれた「ジェネレーションZ世代(以下Z世代)」。平昌五輪で活躍した、フィギュアスケートの宇野昌磨選手やスノーボードの平野歩夢選手、将棋の最年少プロの藤井聡太六段がこの世代だ。
このような若い世代が学ぶ教育の過程でも、ダイバーシティに富んだ学びから、将来のイノベーターを育てることが重要だといわれている。
2014年に開校したインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)は、生徒の7割が諸外国からの留学生、教員の9割が外国人という、ユニークな日本初の全寮制高校だ。自分と異なる価値観を理解し、リーダーになれる人財の育成を目指すリーダーシップ教育を重視している。第1期生の52名は、現在、世界各国の大学で学びを深めているという。
また、2020年に改訂される公立校に向けた新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」がキーワードになっている。全員が1つの正解を目指して知識を習得するこれまでの学びから、生涯にわたって多様な視点から学ぶ力を身に付ける方針へと、大きく舵をとった。
東京都千代田区にある麹町中学校では、授業や行事などの運営で、新たなアイデアを生み出すために、「ブレーンストーミング(ブレスト)」を取り入れ、生徒のさまざまな意見を集める工夫をしている。集まった多様な考えを、カードやふせんを使って情報を分析。問題解決に向けて"会議"を進める。「考え方や価値観が人と違うのは当たり前」ということを、子どものころから教えるためだという。意見の多様性を導き出し、よりよい結果を全体で見つけて吸収する。まさしく、ダイバーシティ&インクルージョンの概念だ。
学びの過程にいるZ世代。生まれた時にはインターネットが普及、ものごころがついた時にはスマホが当たり前になっていたデジタルネイティブ世代ともいわれる。特に注目したいのはSNSへの接触年齢が低いことだ。他者の趣味やファッションをはじめ、多様な価値観についてSNSを介して認め合い、仲間同士のつながりを大切にしている。
このようなバックグラウンドを持つZ世代が、社会人として活躍する時代がやってきた。これからの企業は、こうした新しい価値観を持った人財を受け入れる土台づくりに、早急に対応する必要があるだろう。