有期雇用の派遣社員として勤務している全国の派遣社員500人と、全国の企業および団体で派遣社員の採用に関わっている500人を対象に、無期雇用派遣に対する関心や、派遣会社と派遣先企業に求めるもの、また、将来の働き方に関する考えや、同一労働同一賃金に向けた取り組みの進捗状況についてアンケート調査を実施しました。
派遣社員500人に対し、「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思いますか」と質問したところ、18.4%(92人)が「そう思う」、39.0%(195人)が「どちらかといえばそう思う」と回答し、約6割にあたる57.4%(287人)が、将来的には無期雇用の派遣社員として働きたいと回答しました。
今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと回答した派遣社員287人に対し、その理由を質問したところ、もっとも多く挙げられたのは「契約の更新を気にせず安定して働けそうだから」(74.9%)でした。また、「無期雇用になることで、派遣会社に期待するものは何ですか」という質問に対してもっとも多かった回答は、「時給(給与)のアップ」(74.9%)でした。
派遣社員500人に対し、「改正派遣法について、どれくらい知っていますか」と質問したところ、43.0%が「まったく知らない」と回答しており、多くの派遣社員が、それぞれの働き方に直接かかわる法律の改正を認知していないことが分かりました。
派遣社員500人に対し、「現在の時給には満足していますか」と質問したところ、24.2%が「不満である」、35.2%が「やや不満である」と回答し、約6割にあたる59.4%(297人が、現在の時給に不満を持っていることが分かりました。その理由としては、「仕事内容に見合った金額ではないから」がもっとも多く、約半数の47.5%が時給に不満な理由として挙げました。
派遣社員500人に対し、「改正派遣法において、派遣元事業主には自社の派遣社員に対するキャリアアップ支援を行うことが義務付けられました。あなたは、将来のご自身の働き方に関して具体的なプランもしくは目標がありますか」と質問したところ、「ない」が19.6%、「あまりない」が45.4%で、派遣社員の65.0%(325人)が、将来に向けたキャリアプランや目標を持っていないことが分かりました。その後、キャリアプランや目標がないと回答した325人に対し、その理由を質問したところ、もっとも多かったのが「予測がつかないため考えても無駄になりそうだから」(33.5%)、次が「何から考えて良いかわからないから」(32.0%)でした。
また、派遣社員500人に対し、「あなたが派遣元事業主にもっとも期待するキャリアアップ措置は、次のうちどれですか」と訊ねたところ、全体の半数近い46.0%の派遣社員が(期待するものは)「特にない」と回答しました。
企業で派遣社員の採用に携わっている500人に対し、無期雇用派遣についての認知を質問したところ、80.6%(403人)が「知っている」と回答しました。
無期雇用派遣を認知している403人に対し、「無期雇用されている派遣社員を採用したいと思いますか」と質問した結果、68.5%(276人)が「そう思う」と回答しました。
無期雇用の派遣社員を採用したいと考えている276人に対して、その理由を質問したところ、「安定的な労働力が確保できるから」が79.3%ともっとも多い結果となりました。
派遣社員の採用担当者500人に対し、「この1年間で、以前に比べて派遣社員の採用が難しくなったと思いますか」と質問したところ、「そう思う」と回答したのが全体の約7割にあたる67.4%(337人)に上りました。そして、その337人に対し、どんなときに以前より難しくなったと思うかを質問すると、54.6%が「紹介を受ける派遣社員の数が減った」、49.9%が「従来の派遣料金で採用ができなくなった」と回答しました。
派遣社員の採用担当者500人に対し、「無期雇用派遣によって派遣料金が値上げされる場合、どれくらいの値上げ幅であれば受け入れますか」と質問したところ、その幅に差はあるものの、約7割が値上げを受け入れると回答しました。「値上げは受け入れられない」と答えた担当者は、19.8%でした。
派遣社員の採用担当者500人に対し、勤務先での同一労働同一賃金導入に向けた準備の状況を質問したところ、「進んでいない」が17.6%、「あまり進んでいない」が40.6%となり、まだ準備の進んでいない企業が約6割を占めました。その理由としては、「他に優先するべき業務が多いから」が44.7%ともっとも多く、まだ時間的に余裕があると考えている企業が多いことがうかがえる結果とりました。
派遣社員の採用担当者500人に対し、「派遣社員がテレワークをすることについてどう思いますか」と質問したところ、60.8%(304人)が「賛成」と回答しました。その理由としては、「生産性の向上が期待できるから」が51.6%、「採用難を改善できそうだから」が43.4%となり、生産性向上と人手不足が企業の大きな課題となっていることが、ここでもうかがえました。