平成元年に新卒で社会人となった1,000名(男性:524名、女性:476名、以下「平成元年新卒組」)と、平成30年に新卒で社会人となった1,000名(男性:443名、女性:557名、以下「平成30年新卒組」)を対象に、仕事観に関する調査を行いました。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、新卒入社時に安定した大手の企業と今後伸びそうな新しい企業のどちらで働きたいかと考えていたかを質問したところ、どちらのグループでも7割近くが「安定した大手の企業で働きたいと考えていた」と回答しました。新卒で就職する若者の多くが安定を志向する傾向は、この30年間で変わらないようです。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、新卒入社時に一つの企業でずっと働いていたいと思っていたかどうかを質問したところ、平成元年新卒組は、約7割が「一つの企業でずっと働いていたいと思っていた」と答えました。平成30年新卒組でも、その割合は減少したものの、半数以上が転職せず入社した企業で働き続けたいと考えていました。平成の30年が経過しても、若者の間に環境の変化を避ける傾向が根強く残っていることが伺える結果となりました。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、就活中の会社選びで何を重視していたかを質問したところ、平成元年新卒組が重視していたことのトップ3は1位「やりたい仕事ができる」(47.4%)、2位「給与の水準が高い」(35.5%)、3位「福利厚生が充実している」(29.9%)でした。一方、平成30年新卒組が重視していたことのトップ3は、1位「福利厚生が充実している」(57.6%)、2位「やりたい仕事ができる」(52.0%)、3位「ワークライフバランスが実現できる」(51.1%)でした。
「やりたい仕事ができる」と「福利厚生が充実している」は、どちらのグループも共通して重視していました。大きな違いがみられたのは、給与とワークライフバランスについての意識です。平成元年新卒組は、「給与の水準が高い」を会社選びで重要視することの2位に選びました。しかし、平成30年新卒組のトップ3には、「給与水準が高い」ではなく「ワークライフバランスが実現できる」が入りました(第3位)。平成の30年間で、若者の間で仕事とプライベートをいかに両立させるかについての意識が大きく高まったことが伺えます。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、新卒入社時に自分のことと仕事での成功どちらを優先したいと考えていたかを質問したところ、どちらのグループも「会社や仕事のことより、自分のことを優先したいと考えていた」と答えた人の割合が多い結果となりました。ただ、その割合は平成元年新卒組の62.5%に対して平成30年新卒組は75.1%と10ポイント以上も高く、現代の若者の方が自分のことを優先する傾向がより強いことが伺えます。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、新卒入社時にどの程度出世意欲があったかを質問したところ、平成30年新卒組の方が積極的に出世をしたいと考えていました。「出世したい」と答えた割合が平成30年新卒組では52.2%だったのに対して、平成元年新卒組では31.6%と、20ポイント以上もの大きな差がありました。
続けて、「出世したい」と答えたグループ(平成元年新卒組316人、平成30年新卒組522人)に対しどの程度まで出世をしたいと思っているかを質問した結果、平成30年新卒組の方がより上の役職を目指していることが明らかになりました。同じように出世欲があっても、現代の若者の方がより貪欲に上のポジションを狙っているようです。
平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、新卒入社時に同期に対して競争心があったかどうかを質問したところ、平成元年新卒組は6割以上が「同期に対する競争心はない」と回答しました。一方、平成30年新卒組は半数以上が「同期には負けたくない」と考えていたことが分かりました。今回の調査では現代の若者の出世欲の旺盛さが明らかになっていますが、同期に対する競争心も強いようです。
平成30年新卒組1,000人(男性:443名、女性:557名)に対し、将来男性が「主夫」になることについてどう思うかを質問したところ、男性は6割以上が「主夫になっても構わない」と回答したのに対し、女性は約6割が「配偶者には主夫になってほしくないと思う」と答え、若者の間では女性の方が「主夫」という働き方に対して否定的な考えを持っていることが分かりました。