2020年4月1日付けで同一労働同一賃金の導入が義務付けられている従業員300人以上の企業(以下「大企業」)で人事業務に携わっている500人を対象に、勤務先の企業での同制度導入に向けた準備の進捗状況と、導入後に正社員および非正社員の給与や手当てといった勤務条件がどのように変わると見込んでいるかについて調査を行いました。
大企業で人事業務に携わっている500人に対し、「あなたの勤務先では、『同一労働同一賃金』の導入についてどのように対応するか、方針は決まっていますか」と質問したところ、「すでに決まっている」と回答したのは全体の27.0%でした。「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」と回答したのが55.0%、「まだ決まっていない」と回答したのが18.0%で、全体の7割以上にあたる73.0%が、「同一労働同一賃金」導入まで1年を切った現在でも、どのように対応するか方針を固められていないことが分かりました。
大企業で人事業務に携わっている500人に対し、「あなたの勤務先での『同一労働同一賃金』の導入における課題は、何に関することですか」と質問したところ、もっとも多くの回答者が課題であると回答したのは「基本給」(68.8%)、次いで「賞与」(65.0%)となりました。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の基本給に関する対応方針が決まっていると答えた311人の回答を見ると、半数以上となる52.1%の企業で、非正社員の基本給が現在に比べて「増える」見込みであることが分かりました。一方、正社員の基本給については、「変わらない」が6割(60.1%)となりました。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の賞与に関する対応方針が決まっていると答えた303人の回答を見ると、39.9%の企業で非正社員の賞与が現在に比べて「増える」見込みで、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」(15.2%)と合わせると、5割を超える55.1%の企業で、非正社員の賞与収入が増える見込みとなりました。正社員の賞与に関しては、「変わらない」が約7割(66.0%)でした。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の手当て(通勤手当て、住宅手当てなど)に関する対応方針が決まっていると答えた314人の回答を見ると、非正社員に対する手当てが「厚くなる」との回答が3割以上(31.5%)でした。一方で「変わらない」も4割超(44.9%)となりました。正社員に対する手当ては、「変わらない」が74.2%でした。