「Global Talent Competitiveness Index(GTCI)」とは、人財の質に基づいた各国の競争力を測定したグローバルの調査レポート。「いかにその国が人財を育成し、成長させるか。また、人財を呼び込む魅力を有するか」などの6つの指標で評価する。
1位はスイスで、次に米国(2位)、シンガポール(3位)、スウェーデン(4位)、デンマーク(5位)、オランダ(6位)、フィンランド(7位)が続く。欧州以外で上位20カ国に入ったのは、オーストラリア(10位)、カナダ(13位)、ニュージーランド(16位)、日本(19位)、イスラエル(20位)で、1人当たりのGDPとGTCIスコアの間には高い相関関係がある。日本は昨年の22位よりランクアップしている。
都市別ランキングでは、1位のニューヨーク、僅差で2位のロンドン、3位のシンガポールに続き、6位の香港とともに東アジア勢として東京が8位にランクインしている。ランキングの上位1/4は、2都市を除いて高所得国であり、上位に入る都市は、国別ランキングで上位に入る国の都市が多い。
顕著な傾向として、上位を占める国は先進国・高所得国であり、低所得国との格差が広がっている。この格差はAI(人工知能)の台頭と、業界間・部門間・国家間に生まれた関連デジタルスキル格差によって拡大している。
同様のことがAI分野についても言える。発展途上国の半分以上の人々が基本的なデジタルスキルを身に付けていない。AIに関する施策や取組みは、ネガティブな影響を最小限に抑え、発展途上国がAIを利用できるように努めなければならない。
中国、コスタリカ、マレーシアなどは、それぞれの地域で人財先進国となりうる。ガーナ、インドなどは、ここ数年、人財向上国に分類することが できる。AIによって中南米などがAIアプリケーションにおける「グローバルデリバリーセンター」となる可能性も考えられる。
AIはSDGsの達成を支援するのに重要な役割を果たせる。そのため、AIと人財の需要と供給は、同時に検討すべきだ。すなわち、人とAIが最適な協力関係を築くために必要なスキルの構築、および長期にわたる持続可能性と社会的価値を最大化するための条件の確立だ。
労働者は、適応性、社会的知性、コミュニケーション力、問題解決力の訓練が必要になる。生涯学習は、共感力、創造力、想像力、判断力、リーダーシップを育むために、ますます重要な役割を担う。これらの能力は、恐らく今後も人間だけが発揮できるもの。スキルの再構築は、人間とAIが効果的かつ効率的に連携して活動できるようになるためにも必要だ。
AIの導入については、多くの可能性を示唆することが重要だ。人間とAIの協働が、どちらか一方だけよりも生産性が高くなることを示す必要がある。
AIによる自動化によって、ワークライフバランスが改善され、より刺激的で知的な仕事が得られる機会も増える。AIによる変化は急速で広範囲に及ぶだろう。それゆえ、教育者や指導者は、新しい世代が有意義な方法で社会に貢献できる仕事を探せるようにすることが重要になる。
AIは、都市戦略の基盤を変革する推進力となり、スマートシティ化を促進する。都市は今後ますます、新しいAI技術のテスト環境となる。
〈調査対象〉世界人口の94%および世界のGDPの97%を占める132カ国
〈評価内容〉 指標は、人財競争力の「アウトプット」である2つの柱(VT Skills、GK Skills)と「インプット(Enable、Attract、Grow、Retain)」。それぞれのスコアを加算平均し、国際人財競争力指数を算出しランキングする
〈調査機関〉 ・INSEAD(フランス、シンガポール、アブダビに拠点を構えるビジネススクール)・Google Inc. ・Adecco Group
テクノロジーの進化によって、ほぼすべての仕事で変革が起こる中、組織にとっては適切な人財を確保することがかつてないほど重要になっています。働く人々にとってはリスキル(学び直し)が必要となり、適応力や社的知性、コミュニケーション力、問題解決能力、リーダーシップなど、テクノロジーを補完するヒューマンスキルを磨くための訓練が欠かせません。これからの10年は「リスキルの時代」とも言えます。Adecco Groupは、2030年までに世界中の500万人の人々のスキルアップとリスキルを行い、AI時代における成功を可能にするスキルの習得を促すことに全力で取り組んでいきます。
Adecco Group CEO
アラン・ドゥアズ(Alain Dehaze)