実は僕も、つい最近そういう気づきの機会がありました。僕は創業以来7年間、理念や夢について語ってきたのですが、本当のところは自分の使命を自覚していたわけではありませんでした。自分がこの仕事に導かれた本当の理由は何か。それが選手時代の挫折にあると気づいたのが、この2022年の年末でした。
高校時代からの僕の一番の目標は、ワールドカップに出ることでした。2000年にプロのサッカー選手になって、2010年に南アフリカでワールドカップが開催されることが決まってからは、いつもそこを目指してきました。2006年に代表メンバーに選ばれて、2010年大会を目指すチームの一員になれました。まさに夢に一歩近づけたわけです。
でも、その後コンディションが悪化して、結局大会本番では代表チームに入ることができませんでした。今思えば、出場できる可能性はあったと思います。でも、体調が悪くなってからは、「ワールドカップに行く」ということを一切言わなくなって、その可能性を自分で閉ざしてしまったんです。自分の夢から自分で降りてしまったわけです。
その記憶に僕はずっと蓋をしていました。思い出すのがつらかったからだと思います。でも、そのことを思い出して、僕は気づいたんです。僕が今この仕事をしているのは、あの頃の自分のような人をなくしたいからだと。本当にやりたいことがあるのに、叶えたい夢があるのに、コンディションのせいでそれをあきらめてしまう。そんな人をなくしたいからなんだと。そう思えたときに、自分のなかの迷いがまったくなくなりました。自分の使命のようなものがようやくわかった。そう感じました。