アンケート調査 グローバル 働き方 仕事の未来 AIによるディスラプションを乗り切るにはーAIに対する人間中心のアプローチがいかに人財の優位性を生み出すのかー

  • このページをFacebookでシェアする
  • このページをTwitterでシェアする
  • このページをLinkedInでシェアする
2024.08.22
AIによるディスラプションを乗り切るには、AIに対する人間中心のアプローチがいかに人財の優位性を生み出すか AIによるディスラプションを乗り切るには、AIに対する人間中心のアプローチがいかに人財の優位性を生み出すか

Adecco Groupの「Leading through the Great Disruption(AI によるディスラプションを乗り切るには)」では、日本を含む世界9カ国のCレベル(経営幹部レベル)2,000人を対象に調査を行いました。
本調査は、人工知能(AI)と生成AIが人財戦略に及ぼす影響に焦点を当てています。

1. AIはすでに変化を迫っている

「AIが各業界のゲームチェンジャーになると信じている」と回答した人の割合

「デジタルトランスフォーメーションが大きく進展した」と回答した人の割合

現状では、デジタルトランスフォーメーションが大きな進展を遂げた企業は10社に1社のみに過ぎません。
「AIが業界にとってゲームチェンジャーである」と回答したリーダーは61%。
役職別でみると「AIが自社にとってゲームチェンジャーである」という質問に対してCFOやCEOはAIのもたらすチャンスに慎重になっていることがわかります(図1)。
CFOやCEOは、AIの導入を加速させるために、AIがもたらすチャンスに対してより確信を深める必要があります。

図1 「AIは自社にとって、ゲームチェンジャーである」(役職別)

Q. 自社のAI活用について、以下の記述にどの程度同意しますか。「AIは自社にとってゲームチェンジャーである」

2. リーダーの準備が整っていない

「経営陣のAIスキルや知識に自信がない」と回答した人の割合

「リーダーシップ開発強化のための活動をすでに行っている」と回答した人の割合

リーダーは正しい戦略を立てる前に、AIがもたらす課題とチャンスを理解する必要があります。
一方で、過半数のリーダーは経営陣のAIスキルに自信がないと答えており、組織の指導層には深刻なスキルギャップがあります(図2)。このことは、働き手の準備にも連鎖的に影響を及ぼします。
AIによるディスラプション(創造的破壊)を乗り切るには、リーダーが「適応性のあるマインドセット(Adaptive mindset)」を迅速に身に付ける必要があります。

図2 「自社の経営陣は、AIのリスクやチャンスを理解するのに十分なAIスキルと知識を持っている」(役職別)

Q. 以下の記述について、どの程度同意しますか。「自社の経営陣は、AIのリスクやチャンスを理解するのに十分なAIスキルと知識を持っている」
四捨五入処理のため、合計が100%にならない場合があります。

リーダーの準備が整わないと、組織全体が遅れをとります。現時点でAIを理解するためのスキルや知識を持たない経営陣は、働き手にスキルやガイダンスを提供する可能性が低くなります(図3)。AIによるチャンスに働き手の力を結集させるためには、リーダー自らがAIに関する学習に取り組んでいると示す必要があります。

図3

Q. 以下の記述について、どの程度同意しますか。「自社の経営陣は、AIのリスクやチャンスを理解するのに十分なAIスキルと知識を持っている」/「自社では従業員に対し、仕事でのAIの使い方についてガイダンスを提供している」

3. 責任ある人財戦略がAIの成功を支える

「デジタルトラスト(デジタル技術、サービス、関連組織等への信頼)は今後5年間で、自社のビジネスに大きな影響を与えると思う」と回答した人の割合

「責任をもって倫理的にAIを使用するための枠組みがある」と回答した人の割合

企業は最初の段階から、倫理的かつ責任を持ってAIを利用するための枠組みを作る必要があります。

職場におけるAIの成功には、デジタルトラストを築くことが最も重要です。働き手はこの技術に自信を持つ必要があります。

責任あるAIポリシーは、企業全体の賛同を獲得し、信頼を築き、AI導入を前進させるための必須事項です。

図4

Q. 以下のメガトレンドは、現在および5年後の貴社にどの程度影響を与えますか。「デジタルトラストの構築」

4. 「社外からの採用か社内育成か」
二者択一の人財戦略はサステナブルでない

「AIスキルを持つ人財を社外から採用する予定」と回答した人の割合
「社内で育成する」と回答したのはわずか34%

従業員の業務がAIの影響を受けた場合、「彼らを社内で再配置する」と回答した人の割合

ほぼすべての職務でデジタルとテクノロジーのスキルが必要とされるため、競争の激しい雇用市場はさらに厳しくなることが見込まれます。

ほとんどの企業では、既存のチームを教育するよりも、社外から人財を採用することを予定しています(図5)。このアプローチには、スキル不足を生み出し、賃金を押し上げる危険性があります。

企業は、スキル不足を煽ることを避け、働き手のエンプロイアビリティ(雇用され得る能力)を確保するために、社内の働き手の中で関連するスキルを育成する必要があります。

図5 以下のスキルギャップをどのように埋める予定ですか。

Q. 以下のスキルギャップをどのように埋める予定ですか。「社外から人財を採用する(スキル獲得のために新規に正社員を採用する)」または「人財をレンタルするか外部の助言を求める(職務をアウトソーシングするか、外部のアドバイザーを雇う)」対「社内で人財を育成する(現状の働き手のスキルアップを図る)」

5. AIは人間中心のビジネスの創造をサポートする

現在の最大のスキルギャップは「創造性とイノベーション」

「生成AIはスキルアップと開発において重要な役割を果たす」と回答した人の割合

リーダーは、コーチング、トレーニング、リーダーシップ開発によって、人間ならではの特性をより高める必要があります。

企業は、創造性、イノベーション、クリティカルシンキングにおいて、大きなギャップに直面しています。

AIは、働き手を労働集約的作業の負担から解放し、人間の潜在能力を引き出すために活用すべきです。AIはまた、トランスファラブルスキル(汎用的で別の業種や職種での応用が可能なスキル)を強化する、社内での流動性を促進するといった重要な役割も担います。

図6 「すべての働き手がトランスファラブルスキルを理解し、それを確実に伸ばすことが重要である」

Q. 自社の人財戦略について、以下の記述にどの程度同意しますか。「すべての働き手がトランスファラブルスキルを理解し、それを確実に伸ばすことが重要である」

【調査概要】
調査対象:世界9カ国のCレベル(経営幹部レベル)
サンプル数:2,000人
実施期間:2023年10月~12月
調査実施国:日本(266)、カナダ(90)、米国(500)、英国(189)、ドイツ(189)、フランス(170)、スペイン(177)、オーストラリア(198)、シンガポール(221) 計9カ国

※調査対象国は、すべての地域をカバーするように選択され、国別のサンプル数は、国際ビジネスにおけるそれぞれのウェイトをほぼ反映しています。本調査の信頼区間の水準は95%です。

属性別の詳細な調査結果については、レポートの参考資料をご参照ください。