有期雇用に関する労働契約法が4月に施行されるなど、雇用や労働を取り巻く環境がますます変化することが予測される2013年。企業の経営者や人事部門は、その変化にどのように対応していけばいいのか。
労働や人材などの分野を専門に研究されている東京大学大学院教授の佐藤博樹氏と東洋大学准教授の小島貴子氏に話をうかがいながら、2013年以降に予測される変化を7つのキーワードにまとめてみた。
有期雇用に関する労働契約法が4月に施行されるなど、雇用や労働を取り巻く環境がますます変化することが予測される2013年。企業の経営者や人事部門は、その変化にどのように対応していけばいいのか。
労働や人材などの分野を専門に研究されている東京大学大学院教授の佐藤博樹氏と東洋大学准教授の小島貴子氏に話をうかがいながら、2013年以降に予測される変化を7つのキーワードにまとめてみた。
「現在、労働人口の半分は、いわゆる有期雇用労働者です。その数は、今後さらに増えていくと指摘されています。したがって、これからは、正社員か契約社員か、あるいは契約が長期か短期かといった雇用形態による区分けが意味をなさない時代になっていくと私は考えています。労働形態がもっとフレキシブルになり、一人ひとりの能力で判断されるようになるでしょう」(小島氏)
そのような環境にあっては、「正規」「非正規」といった言葉の見直しも必要となるだろう。佐藤氏も「雇用形態や働き方に関する言葉は、実態にあわせて正確に使うべきだ」と指摘している。
たとえば、「非正規社員」ではなく「有期フルタイム勤務社員」や「有期短時間勤務社員」など具体的にその雇用契約の内容を示す呼称が求められる。「正規社員」は「無期契約フルタイム勤務社員」などと呼称を変更すればよいだろう。
さらに、「日雇派遣」は正確に「30日以内の短期派遣労働者」としたり、「フリーター」は「学生ではない若年有期契約社員」というのがより正確な呼び方、と佐藤氏は話す。
事実、ある大手の流通事業者では、人事部が主導して、「正規」「非正規」という言葉の使用を控え、制度的にも正社員とそれ以外の社員の間の壁を取り払おうとしており、このような動きはさまざまな企業でも進んでいる。
他国ではそもそも雇用形態における壁はなく、このような問題は日本特有のもの。人事担当者がより公正かつ正確に人材を捉え、それを社内の人事制度に反映させていくことがこれからはさらに必要になりそうだ。
profile
1953年生まれ。81年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、同年雇用職業総合研究所(現、労働政策研究・研修機構)研究員に。法政大学経営学部教授などを経て96年東京大学社会科学研究所教授、2011年4月より現職。
profile
1958年生まれ。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、出産退職。 91年に埼玉県庁に職業訓練指導員として入庁。2005年5月、立教大学の「コオプ教育コーディネーター」に就任。同大大学院特任准教授などを経て、12年4月より現職。