“高負担高福祉”の前提条件は、国民が総出で働き、税金を納めることだ。よって北欧の税制は世帯単位ではなく、個人単位が徹底している。しかも働くほど恩恵を享受できる「勤労インセンティブ」を高める仕掛けが埋め込まれている。その一つがスウェーデンが06年に導入した「勤労税額控除」で、一定所得層まで、所得に比例して税金還付額が高くなる仕組みだ。
失業保険にしても、この「勤労インセンティブ」要素が色濃い。「以前の賃金の8割保障は、失業200日目までで、201~300日までは70%に下がる。より厳しいのが、職業安定所が案内する、本人に合ったと思われる仕事に、妥当な理由なくして就かないと支給が減額され、それが度々続くと支給停止になることです」(湯元氏)
「自身の生活の基盤は自身の労働から」といった思想が、税制から社会保険にまで通底している。