ミスマッチが原因となり生じる離職とその割合の高さ──。
問題点を指摘されながらも、今なお採用の中心である「新卒一括採用」。このミスマッチを軽減する方法としてインターンシップ制度が注目されている。
日本のインターンシップの現状を探ってみた。
昨今、急速にインターンシップへの関心が高まっている。インターンシップを導入する大学は70.3%に及び(図1)、インターン生を受け入れる企業は大企業の場合40%近くに達する。
なぜインターンシップが重視されるようになってきたのだろうか。就活情報に詳しい就職コンサルタントのリバースキャリアパートナーズ代表、坂本章紀はこう分析する。「一言でいうなら、企業と学生の採用ミスマッチの解消です。インターンシップを介して、学生が入社前に業務内容に触れることで、お互いに理解を深め、入社後もすぐ活躍できる下地を作り、離職率を抑制するのが狙いです」
また現在、大学3年生の12月から行われている就職活動を3カ月遅らせて翌3月に後ろ倒しにする議論とともに「インターンシップの実施率を50%に高める」という動きが進んでいることも、要因の1つといえそうだ。「つまり2015年度の新卒採用から企業の採用選考期間は短縮される。そのためインターンシップなどを用いて早い段階で優秀な学生に接触して囲い込みたい──。その予行演習として、今年から本格的にインターンシップに取り組む企業が増えているのです」(坂本氏)
そもそも、日本でインターンシップが本格的に導入されたのは1997年にまで遡る。文部省、通商産業省、労働省の三省合同による「インターンシップ推進にあたっての基本的考え方」が公表され、インターンシップを「学生が、在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義した。嘉悦大学ビジネス創造学部教授の古閑博美氏によると、この頃から大学側も「キャリア教育の一環として『学校教育と職業生活との接続を図る』役目に期待し、単位認定科目として設置するなどしてインターンシップを推進するようになった」と言う。しかし前出の坂本氏は、「実際、インターンシップをうまく活用している例は多くはない」と言う。なぜなのか?