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人財競争力調査レポート
「Global Talent Competitiveness Index」(GTCI)
GTCI概要
「Global Talent Competitiveness Index(GTCI)」とは、人財の質に基づいた各国の競争力を測定したグローバルの調査レポートで、「いかにその国が人財を育成し、成長させるか。また、人財を呼び込む魅力的な土壌を有するか」といった人財に関わる指標で評価している。「人財」を人的資産として数値化したグローバルな調査では、ほぼ初めての取り組みだ。
結果としては、欧州諸国がトップ10のうちの8カ国にランクイン(図1)。アジアではシンガポールやマレーシアが高順位で、日本は21位だった。1位のスイスは明らかに群を抜いており、GTCIモデルのほぼすべての変数で高成績、高い総合スコアを記録。一方、日本は「External Openness(対外開放性。国外からの直接投資、人財・企業の参入のしやすさなど)」は73位、「Internal Openness(対外開放性。国内での人財の流動の度合い、多様性や移民への寛容度など)」が67位と人的資産の開放度に関する評価が特に低く、人財に関して閉鎖的・固定的な国との印象を与えている。
今後、新しい技能や人財に対する需要は、我々の想定をはるかにしのぐスピードで変化し続ける。そうした中、企業、政府、個人が意識を高め、より足並みの揃った方法で人財育成に取り組むことが重要になっている。
- ① Enablers:外部環境要因。政治の安定、政策などの規制要因、競争環境、労働市場の柔軟性、イノベーションを生み出すに適した環境かどうかなど
- ② Attract:人財に対する国の魅力度。国外からの直接投資、人財、企業の参入のしやすさ、国内での人財の移動のしやすさ、多様性など
- ③ Grow:人財開発のための方策。大学の質、留学生の受け入れ状況、教員と学生の比率、ビジネスマンのスキル育成の環境、ネットワーキングの状況など
- ④ Retain:人財を国内に維持するための方策。税制や年金制度の整備状況、治安など生活する上での環境など
- ⑤ Labour and Vocational:基礎スキル、職業専門スキル、労働生産性。職業・専門訓練を受けている人財、技術者がどの程度いるか、若者の雇用状況がどうなっているかなど
- ⑥ Global Knowledge:グローバルな知識スキル。高いスキルを持つナレッジ・ワーカーがどの程度いるか、そういった人財によるイノベーションや起業の状況など
調査結果
- 1 人財を巡る競争の条件は平等ではない
- ランキング上位は高収入国がほぼ独占。中収入国が必要な人財を育み、獲得し、維持するためには、越えなければならないハードルが存在する。多くの発展途上国・新興国は、基本的なインフラを整備し、労働集約型の市場で競争するために必要な職業能力の育成と獲得に取り組む必要がある。
- 2 貧しい国ほど「Retain」が難しい
- 世界各国で需要の高い技能を中心に「Grow(③)」を強化しその効果を最大限享受するためには、同時に「Retain(④)」を強化していく必要がある。質の高い教育体制を整備したにも関わらず、学校卒業後、優秀な人財がより高い収入が得られる国へ出てしまう例はいくつも存在する。
- 3 新たな「勝ち組」の台頭
- 現在躍進を遂げている一部の国がランキングの上位に見られる。シンガポール(2位)がその好例で、その他エストニア(23位)やモンテネグロ(26位)、マレーシア(37位)など、これらの国のパフォーマンスはおおむね、各国政府が人財競争力を重視した政策を打ち出してきた成果と言える。
- 4 戦略的に重要かつ不可欠な「GK Skills」
- 今回のGTCIでは、「GK Skills(⑥)」の領域で最も顕著な差が表れている。これらの技能を育成するには、大学などの教育機関やイノベーションを生み出す組織が求められるが、一般的に短期間で開発するのは難しく、発展途上の経済国で実現することは容易でない。ただ、これらの技能は技術革新を進める上で非常に重要であるため、これによる「格差」が広がることは問題視されている。
- 5 人財競争力と相関する世界の歴史
- ランキングでは、欧州諸国が上位をほぼ独占するなど、欧州の優位性が際立つ。この背景には、長い歴史の中で培われた教育や文化的な積み上げがあると思われる。さらに伝統的な「移民国家」であるアメリカ(9位)やカナダ(11位)、オーストラリア(15位)が上位に集中していることからも、文化や教育が人財力に影響していることが見てとれる。
<調査対象> |
世界の人口の86.3%および世界のGDPの96.7%(現在の米ドルに換算)を占める103カ国 |
<評価内容> |
指標は、人財競争力の「アウトプット」である2つの柱(LV Skills、GK Skills)と「インプット(Enablers、Attract、Grow、Retain)」。
それぞれのスコアを加算平均し、国際人財競争力指数を算出しランキングする |
<調査機関> |
- INSEAD(フランス、シンガポールに拠点を構えるビジネススクール)
- シンガポール・ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)
- Adeccoグループ
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「GTCI」についてのお問い合わせ:アデコ(株)コミュニケーション室(Mail:senden@jp.adecco.com)
VOL.37特集:『人財競争力調査』からひも解く “これからの”人財の採用と育成
組織と人の今とこれから
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Case Study