その問題と深く関わってくるのが「限定正社員」だ。これは、従来もあった転勤のない地域限定社員や職種が限定された職種別採用の一種で、ユニクロを展開するファーストリテイリングや日本郵政など採用する企業が増えている雇用形態だ。
「賛否両論ありますが、非正社員の若者の正社員化や企業内で宙に浮いている中高年正社員の受け皿の一つになると考えています」
今年は、一昨年の労働契約法改正で規定された、5年経過した有期労働契約を無期化する制度の中間年でもある。正社員・非正社員の雇用がどうあるべきかが問われている。
労働者派遣法改正案やホワイトカラー・エグゼンプションなど、2014年から引き続き議論がされるテーマに加え、働き方もより多様化が進みそうだ。
キーワードを挙げながら、2015年の雇用と労働を読み解いた。
昨年、国会で廃案となった労働者派遣法改正案。2015年も引き続き、動向を注視したほうがよさそうだ。
改正のポイントとなっているのは、派遣の“期間制限”の変更だ。これまで、通訳や秘書などの「専門26業務」を除いた業務は、派遣期間に3年の上限が設けられていた。この区分けを撤廃し、すべての業務において労働者の派遣期間を最長3年に定めるというもの。また、3年を経過した労働者には、派遣先や派遣元での無期雇用など、雇用を安定化するよう取り組むことが義務付けられる。
労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏は「労働者派遣法制定時の最大の目的は、正社員が行う仕事を派遣社員が代替する“常用代替”の防止。つまり、正社員保護の視点から始まったものでした」と解説する。
だが、専門26業務の中に、OA事務業務など、現在では専門と言いがたいものも入っているため、常用代替が常習化しているのが現状だ。
「法律が現実に即していない状況を踏まえ、改正のベクトルが正社員保護から、派遣労働者の雇用の安定へ向いたことは評価できます」
ただ、派遣労働者を含めた正社員と非正社員の均等待遇には、日本特有の雇用慣行が問題となっていると濱口氏は指摘する。
「日本の正社員雇用は、いまだに業務を限定しない新卒一括採用が基本で、賃金は年功序列の定期昇給が慣例。仕事内容で賃金が決まるわけではないので、構造的に正社員と非正社員を『同一労働・同一賃金』にすることは難しい。派遣法改正はこの問題も含めて議論されるべきです」
その問題と深く関わってくるのが「限定正社員」だ。これは、従来もあった転勤のない地域限定社員や職種が限定された職種別採用の一種で、ユニクロを展開するファーストリテイリングや日本郵政など採用する企業が増えている雇用形態だ。
「賛否両論ありますが、非正社員の若者の正社員化や企業内で宙に浮いている中高年正社員の受け皿の一つになると考えています」
今年は、一昨年の労働契約法改正で規定された、5年経過した有期労働契約を無期化する制度の中間年でもある。正社員・非正社員の雇用がどうあるべきかが問われている。