欧州では、イクメンやイクボスは当たり前と言われるが、実際スウェーデンの男性育児休業取得率は約9割もあり、男性の育児参加が積極的だ。
「これからは、少子高齢化により、女性の就業拡大と生産性の向上が不可欠となります。そのためには、部下のワークライフバランスに配慮しつつ、効率的に働き組織の成果も出す"イクボス"を増やすことが重要です」
そう語るのは、雇用労働政策を専門とするみずほ総研主任研究員の大嶋寧子氏。「実はスウェーデンも、1950年代までは日本と同様、男性が労働力の中心でした。しかし、60年代に女性の解放、男女共同参画に関する国民的な議論が起きました。そして、男女の機会均等を支える改革が税・雇用・保育などの幅広い面で進められた結果、男性の育休取得率が高い社会を実現しているのです」
また、ドイツは北欧、フランスなどには遅れたものの、2000年代に男性の育児参加を進め、女性が働き続けやすい社会を目指す改革が行われた。少子化による経済停滞への危機感からだ。
「ドイツには、子どもが3歳になるまで母が家で育児をすべきという"3歳児神話"もあって改革が遅れたのですが、05年にメルケル政権が誕生し、少額だった育児休業中の所得補償を67%へ拡大。期間は計14カ月ですが、片方の親が取得できるのは1年まで。両親がそれぞれ育休をとらないと、2カ月分の休業の権利がなくなる"パパの月"という、男性の育休取得を意識した制度を導入しました」