「労働力人口が減少し、限られた人財で最大の成果を上げなければならない昨今、どの会社も労働力の質の向上が求められており、職場のメンタルヘルスにおいても、社員の健康や生産性の高い職場作りが重視されてきています。そのためには、一人ひとりの社員の強みを伸ばしたり、意欲を活性化させたりする"攻め"のメンタルヘルス対策が必要なのです」
そう語るのは、東京大学大学院准教授の島津明人氏だ。同氏が攻めのメンタルヘルス対策として挙げるのが「ワーク・エンゲイジメント」である。「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)状態を「ワーク・エンゲイジメントが高まった状態」だという。この状態になると、活力にあふれ、積極的に仕事に関わり、パフォーマンスも高まる。「ワーク・エンゲイジメントは、"燃え尽き症候群(バーンアウト)"の対極概念として研究が始まり、2000年代から欧州を中心に普及し始めました(図1)。最近は日本でも、心理学や産業保健、看護の分野で重要だといわれています」