休みなく挑戦を続けてきましたが、頂上に近づいている感覚はありません。あるところまで登ると、次の山が見えてくるんです。
施設をブランド化しメッセージを強化する
「星のや」「リゾナーレ」「界」。この3つが、星野リゾートの現在の主力ブランドです。私たちがブランド戦略に本格的にチャレンジし始めたのは、3年ほど前からでした。 星野リゾートが運営する施設は、今年中に30まで増やす予定です。地域の魅力を最大限に生かした旅館やホテルを作る。そんなテーマを掲げて、これまで全国の施設を運営してきました。結果、それぞれの施設に地域の魅力を十分に反映させることができましたが、一方、施設ごとに持ち味がばらばらで、お客様が選択する基準が分かりにくいという難点もありました。そこで、「星のや」は日本文化を味わえる和のリゾート、「リゾナーレ」は家族でアクティブに過ごせるリゾートホテル、「界」は高級温泉旅館──と、各施設にブランドを冠し、どういった施設であるかを明確にすることで、お客様がその時々で自分に合った施設を容易に選択できるようにしたのです。
従来、私たちの戦略は「同じ施設のリピーターになっていただく」というものでした。たとえば、「星のや 軽井沢」に来てくださったお客様に、次のシーズンにも来ていただくにはどうすればよいかが課題でした。しかし、私はあるときから、「いろいろな場所に行ってみたい」というのが旅の本質的なニーズではないかと考えるようになりました。軽井沢の次は沖縄、その次は北海道──。それがお客様の偽らざる本音なのです。