20年後、今の自分からは想像もつかないような自分になっていること。それが、これからの私の挑戦です。
アメリカ留学が大きな転機に
私はメンタルトレーナーとして、スポーツ選手やビジネスパーソンの心と体の健康をサポートする仕事をしています。第一線で活躍するアスリートやビジネスパーソンは、毎日が挑戦の連続です。その挑戦を成功に導くお手伝いをする私の仕事も、やはり同じように一つひとつがチャレンジだと思っています。
シンクロナイズドスイミングの選手を引退してからの最初の大きな挑戦は、アメリカへの留学でした。中学生の頃から海外遠征には何度も行っていましたが、たった1人で知らない土地に行くのは初めてでした。24歳にもなってそんなことを初めて経験したというのも今思えば滑稽ですが、そのくらい当時の私は世間知らずだったのです。
合計6年半の留学期間で学んだのは、疑問を持つことや自分の頭で考えることの大切さでした。それまでの私は、シンクロだけの生活に疑問を抱くということがありませんでした。現役引退後にコーチという仕事についたのも、用意されていたレールに乗っただけだったのです。
しかし、海外の大学院で心理学を学んだり、のちの夫となるフランス人の男性と対話を重ねたりする中で、どんなときにも「なぜ?」と考えるようになり、その習慣が身につきました。自分に提示されたことを鵜呑みにせずに、いろいろな方向から検証して納得感を得ること。それは、思考のトレーニングであり、自分を見つめる訓練でもありました。それによって、私は人生の大きな一歩を踏み出せたように思います。
経営者としての新たな経験
もう一つの大きな転機は、3年ほど前。「経営」という難問に、本気でチャレンジし始めたことです。それ以前から、名目上、私はMJコンテスという会社の経営者の立場にありましたが、当時、会社の経営を実質的に取り仕切っていたのは、共同経営者でした。年々確実に売上を伸ばしていた当初、「経営は私に任せて。お金の心配もしなくていい。あなたはメンタルトレーナーとしてのキャリアを積むことに専念して──」。彼女は、いつも私にそう言ってくれていました。その言葉に甘えて、2001年の会社設立以来、私は自分のスキルアップにひたすら集中してきました。