「常に新しい」というのは実は自然なことなんです。芸も自分も常に変化しているのだから
心の支えとなった師匠の言葉
僕、子どもの頃から何をやってもダメだったんです。勉強もダメ。中学でブラスバンドに入ったけれど楽器は下手。高校でソフトボールをやりましたが、それも全然才能がなかった。でも、大学でたまたま落語に出合って、最初からそこそこウケたんです。「もしかしたら、落語の才能だけはあるのかもしれない」と思いました。
それで、就職はせずに落語の世界に入りました。東京で落語家になろうとすれば、江戸落語をやることになるわけですが、僕は生まれが静岡ですから、東京の人間になれるはずはありません。人マネの江戸弁ではなく、自分の言葉で落語をしよう。そのためには、自分でつくったネタをやるのが一番やりやすいはず──。そう考えて、前座の頃から新作落語に取り組みました。