国際労働機関(ILO)は22日発表した報告書で、2012年の世界の若年層(15~24歳)の平均失業率が12.7%に達すると予測した。前年より0.1ポイント高く、少なくとも16年までは現行水準で高止まりするとの中期予測も示した。若年層の雇用悪化は若年無業者(ニート)の増加につながっており、ILOは30日に開幕する総会で対策を協議する。
若年層の失業率上昇は先進国で低成長が続き、途上国では人口増に伴って若年層が大幅に増えているため。07年には11.6%まで低下していた若年層の失業率は08年の金融危機を機に上昇に転じた。報告書によると、世界で約7,500万人の若年層が失業中で、07年以降で400万人以上増えた。このほか、危機で求職自体を断念した若者が640万人に上る。(中略)
12年の先進国の若年失業率は07年より5.5ポイント高い18%で、上昇傾向が鮮明。途上国も北アフリカが4ポイント高の27.8%、中東が2.1ポイント高の26.9%で、ILOのエルムスト雇用分析課長は「若年失業率の高い国・地域ではデモやアラブの春などの騒乱が起きやすい」としている。
一方、中国など東アジアの若年失業率は9.3%、インドなど南アジアは9.8%にとどまる。(中略)
ILOは報告書で「各国政府の雇用対策は不十分で、若年層の就業訓練などにもっと注力すべきだ」と指摘。若年層を積極的に雇用した企業への補助金や、減税に取り組むことも提言した。
(日本経済新聞 2012年5月22日 夕刊)