ヨーロッパでの「同一価値労働同一賃金」は、人権保障の観点が出発点で、性別、人種などの違いを理由とする賃金差別を禁止する原則が根底にあります。それに加えてEU は、1997 年に「パートタイム労働指令」などにより、雇用形態を理由とした賃金格差を禁止しています。
ヨーロッパで「同一価値労働同一賃金」への取り組みが進んだ背景には、職種と役割に応じた賃金制度が、全国レベルの産業別の労働協約によって整備されていたことと、キリスト教の宗教観に基づいた共通認識があります。
一方、米国では「同一価値労働同一賃金」について法制化はされていませんが、市場における競争を重んじる米国社会の特徴により、同職種における賃金に大きな差が生じることはあまりありません。