契約期間の定めのある有期契約労働者の労働環境を改善することを目的として改正された労働契約法が今年の4月1日に施行されます。改正の大きなポイントは、「有期労働契約が繰り返し更新されて通算5 年を超えたときは、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換できる」点。また「有期労働契約であることを理由にした、不合理な労働条件を設けることを禁止する」点です。
新聞各紙では、施行を前にした企業の動向や対応を報じています。弾力性に富む力強い組織を作っていくためには、年齢や雇用形態にとらわれない、より自由な"働く土壌"を形成する必要があると考える企業も多くあります。しかし、一部の企業では、契約更新を5年未満に抑えようとする動きが見られ、法改正が本来の意図とは逆の「雇い止め」の増加を招くという見方もあります。この有期契約労働者の雇用期間のカウントが「5年」に達するのは18年です。
また、同じく4月から施行されるのが、高年齢者の雇用の安定を図ることを目的とした、「改正高年齢者雇用安定法」です。定年を迎えた社員が年金受給開始年齢まで働けるよう、希望者全員を段階的に65歳まで再雇用することを企業に義務付けています。
各企業では継続雇用の対象者を能力や勤務態度で絞り込むことができなくなるため、負担増に備えて、対応を急いでいます。なお、労使協定によって継続雇用の対象となる基準を定めている場合には、2025年までに段階的に適用されます。
有期契約労働者と高年齢者、また将来を担う若年層の採用のバランスをどう保っていくのか。企業は対応を迫られています。