(2014年3月29日 日本経済新聞)
職を持たず職探しもしていない「非労働力人口」が減少に転じた。バブル崩壊後、人口の高齢化で一貫して増え続けていたが、2013年は前年より0.7%少ない4506万人となり、1991年以来、22年ぶりにマイナスに転じた。「非労働力」だった女性や高齢者が「労働力」に加わっていけば、日本の潜在成長力を下支えする。稼ぎが増えることで消費や生産の好循環を生み、社会保険料や所得税を払う人が広がる期待もある。
(2014年4月23日 毎日新聞)
政府税制調査会(首相の諮問機関)が、専業主婦のいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」を見直す議論を始めた。「女性の就労意欲を阻害している」との批判があるためで、主婦層への優遇策を縮小・廃止することで女性の社会進出を後押しするのが狙い。パートで働く女性から控除見直しを歓迎する声がある一方、「子育て支援の仕組みが整わなければ働きに出るのは難しく、就労拡大にはつながらない」との見方も多く、税の負担増に反発する声が高まることも予想される。
(2014年4月18日 朝日新聞)
自民党の女性活力特別委員会(松野博一委員長)は17日、女性の社会進出を進めるため必要な法整備を3年以内に集中的に進める法案の骨子をまとめた。女性の採用や昇進などの現状や目標設定について、情報を開示するよう企業などに義務づけることも検討する。他党にも呼びかけ、超党派で今国会での議員立法をめざす。
(2014年3月29日 朝日新聞)
安倍政権は28日、各府省庁に対し、独立行政法人や認可法人などの全体の平均で、役員に占める女性の割合を2015年度末までに6%程度、管理職に占める割合を13%程度に引き上げるよう指示した。13年4月時点の女性割合は役員が3.8%、管理職が11.5%。安倍政権が掲げる「女性の活用」の一環だ。
3月12日、内閣府は労働力人口の推計を発表した。それによると、現在より諸条件が好転しても、2060年の労働力人口は現在より約18%少ない5400万人程度まで減少するとされている。(諸条件:①2030年に合計特殊出生率が2.07まで上昇する②30~49歳の女性労働力率が現在の約70%からスウェーデン並みの約90%になる③60歳以上の労働力率を5歳繰り上げて推計)
この労働力人口の低下を防ぐため、女性活用の必要性が企業で重視されて久しいが、日本は他国と比較すると、まだまだ歩みが遅い。女性の労働、教育、政治への関与などを調査した世界経済フォーラム(WEF)「男女格差報告(2013年)」によると、日本はジェンダー・ギャップ(男女平等)指数が136カ国中、105位で、順位の低下は3年連続。OECD加盟国ではワースト2位という厳しい状況だ。その原因の一つが、企業の従業者に占める女性の割合が低い点である。年代別の労働力率を見てみると、特に子育て世代である30~34歳で、「M字カーブ」を描くように低下することが分かる。昨今、この流れは多少緩やかになってきてはいるが、いまだ6割以上の女性が出産を機に離職しているのが現状だ。
そうした状況を改善しようと、現在政府は今まで以上に明確に女性活用を打ち出している。東京五輪が開催される2020年までに「25~44歳の女性就業率を73%(2012年は68%)」「指導的地位に占める女性の割合を30%(2012年は10.6%)」とすることを目標に掲げる。
具体的な施策としては、子育て中の求職窓口となるマザーズハローワークの全国での拡充。また、ニートやフリーターを試用する企業に支給する「トライアル雇用奨励金」の対象を育児で離職した女性も含めるように改変した。
総務省統計局による2013年の調査では、職を持たず職探しもしていない「非労働力人口」が22年ぶりに減少に転じた。これは、高齢者の労働力の増加に加え、専業主婦層に動きがあった結果だと考えられている。女性の就業率が男性と同程度になれば、日本の国内総生産(GDP)が大幅に上昇するという予測調査もあり、女性活用が今後の日本に大きな影響を与えると言えそうだ。