今回調査を行った結果、日本で常勤として働くホワイトカラーの外国人財の多くが、現在の就労環境に全体としては満足しており、これからも日本で働きたいと考えていることがわかりました。また、日本で働きはじめた動機は、仕事の種類や給与水準ではなく、日本という国自体への興味が大きいことも明らかになりました。
1. 日本の企業の就労環境に対する意識
回答者全体の77.0%が「現在の就労環境に満足している」、84.0%が「今後も日本の企業で働きたい」と回答しました。また、「現在の就労環境に満足している」と回答した231人に対し、どんな点に満足しているかを訊ねたところ、もっとも多く挙げられたのは「業務内容」(60.6%)、次が「同僚との人間関係」(57.1%)でした。一方、「人事制度」の満足度は29.4%、「評価制度」の満足度は27.7%で、全体的には満足している外国人財でも、人事や評価の仕組みに関しては不満を持っていることが明らかになりました。
2. 日本人の働き方に対する見方
一緒に働いている日本人の働き方についての印象を訊ねたところ、80.3%が「仕事の精度が高い」、61.3%が「人材の指導や育成に長けている」と評価する一方、71.7%が「無駄な会議が多い」と感じており、56.7%は「時間の管理が上手くない」と見ていることがわかりました。
3. 日本の企業での職場環境や組織文化に対する意識
日本の企業の職場環境についての印象を訊ねたところ、「男女が平等に扱われていない」(43.3%)、「外国人に対する差別がある」(39.0%)のような多様性への不寛容さと、「『阿吽の呼吸』といった直接的でないコミュニケーションが煩わしい」(40.0%)、「遠回しな言い方がわかりにくい」(39.0%)という、察することを要求するようなコミュニケーションの仕方に不満を持っていました。
日本の企業での勤務におけるネガティブな経験について質問したところ、「外国人であるがゆえに、機会を与えられなかったと感じることがある」と答えた回答者が約7割(69.3%)に上り、さらに70.3%が「日本独自の習慣に戸惑ったことがある」と回答しました。具体的にどんな「日本独自の習慣」に戸惑ったことがあるかを訊ねたところ、「上下関係や年功序列の厳しさ」をはじめとする組織文化、「会議が長い」「残業が多い」などの労働時間に関すること、「報連相」や「根回し」といった細かいコミュニケーションが求められる業務プロセス、そして必ずしも生産性やパフォーマンスで評価されない「評価基準のわかりにくさ」などが多く挙げられました。
日本で働こうと思った理由を訊ねたところ、6割以上が「住みやすいから」(62.3%)と「日本に興味があるから」(60.7%)を挙げました。
また、外国人財が日本の企業で長く働くため、企業がどんなことに取り組むべきかを訊ねたところ、「外国文化に対する理解の向上」を挙げた回答者が62.7%ともっとも多く、次いで「より良いワークライフバランスへのサポート」(62.3%)、「日本人・外国人従業員間の区別の撤廃」(60.0%)となりました。
4. 外国人財が日本で働き始めたきっかけと、長く働くために企業に必要だと思うこと