以上、見てきたように、欧米、とりわけ日本と米国の企業風土は大きく異なるが、アメリカにおいても、成果によって一律に社員を評価する仕組みが実現しているわけではないことがわかっていただけたと思う。「成果」という指標の導入が日本企業でも不可避となっているとはいえ、それをどのような職階にどのように適用するかは、結局のところ、それぞれの企業の判断ということにならざるを得ないだろう。
この項の最後に、成果主義導入の一例として、GEのケースを見ておきたい。数々の独自の人事制度によって知られるGEだが、特にこの「9Blocks」(図3)はよく知られた評価指標である。
この「9Blocks」の基本的な考え方は、「業績(パフォーマンス)」と「能力(ポテンシャル)」を縦軸・横軸とし、社員を9つの象限のどこかに位置づけるというもの。先に大湾氏が指摘しているようなアウトプットの偶然性(景気の動向など外的要因)を、その人が本来もっていると思われる能力によって補正して評価を下す優れた仕組みである。