加速する高齢化、上向きつつある景気――。
環境が変わるなか、雇用と労働市場にも変化の兆しが見受けられる。迎えた2014年、いったいどのように動くのか。日本型雇用はこのまま続くのか。
今年のキーワードとなりえる語句から探ってみた。
2016年から「改正障害者雇用促進法」が施行される。1976年から、身体障がい者の雇用が義務付けられ、達成できない企業は納付金の義務が生じる。これに加え16年4月からは「障がい者に対する差別の禁止」や「合理的配慮の義務化」、18年4月からは、精神障がい者の雇用が義務付けられる。
厚労省の調べでは、障がい者雇用率は現時点では低く(図参照)、法定雇用率を満たしていない企業は53%にのぼる。だが安藤氏は障がい者雇用での成功事例はあるとした上で「たとえば数字が読めない人でも計量できる装置を作るなど、どういう状況の人でも事務を遂行できるよう、仕事を作り変えることも必要でしょう」(安藤氏)。もっとも、そういった業務ばかりではないのも現実。「さまざまな人が活躍する企業と連携するなど、これまでにない方法も考える必要があります」(安藤氏)。雇用率を高めるだけなく、誰もがやりがいを持って働ける職場作りとは何か、今後さらなる議論が望まれる。
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1958年生まれ。東京大学法学部卒業後、労働省(当時)入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て現職。
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1976年生まれ。東京大学大学院修了。政策研究大学院大学助教授などを経て現職。専門は契約理論、労働経済学。著書に『雇用社会の法と経済』など。