VOL.36 特集:キーワードで読み解く 2014年の雇用と労働

組織と人の今とこれから

加速する高齢化、上向きつつある景気――。
環境が変わるなか、雇用と労働市場にも変化の兆しが見受けられる。迎えた2014年、いったいどのように動くのか。日本型雇用はこのまま続くのか。
今年のキーワードとなりえる語句から探ってみた。

Keyword7 障がい者雇用比率を上げることよりも働きがいを持てる職場を得ること

2016年から「改正障害者雇用促進法」が施行される。1976年から、身体障がい者の雇用が義務付けられ、達成できない企業は納付金の義務が生じる。これに加え16年4月からは「障がい者に対する差別の禁止」や「合理的配慮の義務化」、18年4月からは、精神障がい者の雇用が義務付けられる。

厚労省の調べでは、障がい者雇用率は現時点では低く(図参照)、法定雇用率を満たしていない企業は53%にのぼる。だが安藤氏は障がい者雇用での成功事例はあるとした上で「たとえば数字が読めない人でも計量できる装置を作るなど、どういう状況の人でも事務を遂行できるよう、仕事を作り変えることも必要でしょう」(安藤氏)。もっとも、そういった業務ばかりではないのも現実。「さまざまな人が活躍する企業と連携するなど、これまでにない方法も考える必要があります」(安藤氏)。雇用率を高めるだけなく、誰もがやりがいを持って働ける職場作りとは何か、今後さらなる議論が望まれる。

【図6】 障がい者の雇用は微増

労働政策研究・研修機構 統括研究員 濱口桂一郎氏

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1958年生まれ。東京大学法学部卒業後、労働省(当時)入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て現職。

日本大学大学院 総合科学研究科 准教授 安藤至大氏

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1976年生まれ。東京大学大学院修了。政策研究大学院大学助教授などを経て現職。専門は契約理論、労働経済学。著書に『雇用社会の法と経済』など。

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