「環境変化が激しく、外国人など社員も多様性に富む時代、部下からさまざまな答えを引き出すためには、コーチング的な創造学習が必要になります。そして上司は旧来型の管理者ではなく、創造の引き出し役になる必要があるのです」
ではメンバーの意見をどのように拾うべきか。生田氏のお勧めは、「キックオフミーティングなどでメンバーが胸襟を開いた日を狙い、時間を作ってチームについて話し合うこと」だ。
若手は「任せて」育てる──。だが誰しも一人で育つことはできない。周囲の力を借り、助けられながら成長する。人は、チームの中で育つものだ。
では、その具体的な方法とは?
ここからは特集第2部として、チームで人財を育てる方法論を探る。
「環境変化が激しく、外国人など社員も多様性に富む時代、部下からさまざまな答えを引き出すためには、コーチング的な創造学習が必要になります。そして上司は旧来型の管理者ではなく、創造の引き出し役になる必要があるのです」
ではメンバーの意見をどのように拾うべきか。生田氏のお勧めは、「キックオフミーティングなどでメンバーが胸襟を開いた日を狙い、時間を作ってチームについて話し合うこと」だ。
「その際『みんな、どうしたい?』という漠然とした質問を投げかけるだけでは、和を乱したくない傾向が強い今どきの若手から意見を引き出すことはできません。そこで『もし最大限の力が出せるチームがあるとしたら、どんなチームだと思う?』、『この意見と別のアイディアがあるとしたら、どんなものだと思う?』といった聞き方をする。あるいはメンバーを2人、3人に分けて意見を出させるなど、意見を言いやすくする工夫が必要です」(生田氏)
小平氏も「あなたはどう思うの?というメンバーへのアプローチこそ重要である」と言う。
「日本企業は社員同士の同質性が強いため外国籍社員に対しても、過剰に同調を求める傾向にあります。それでは多様な意見を集められず、アイディアが広がりません。『これについて、あなたの国の人はどう思う?』と頻繁に聞くことで、まずは外国籍社員に自分の提案を受け入れてもらえることも認識してもらうことが重要です」(小平氏)
さまざまな意見が出たら「方向性を絞り込むために、さらに議論を重ねて具体的なチーム像にします」(生田氏)。
こうしてチーム運営の方向性が決まったら、自分たちが目指すチームワークはできているか、面談や会議などで定期的に振り返りたい。「チームを運営する過程でチームの目標にズレが生じているなら、今一度、方向性を再認識させることが欠かせません」(生田氏)
最終的には「人財の成長を考えて『こんなことまで指摘されるのか』と、少々痛い思いをするレベルまでフィードバックするぐらいがベスト」(同)
このフィードバックにもコツがある。「一般的に日本人は、足を組んでいる人を『態度が悪い』と判断するように、行動を人格に結び付けがち。フィードバックの目的は、人格への批判など自分の感情をぶつけることではなく、相手の特定の行動を変えることだと認識することです」(小平氏)
つまり、メンバーの具体的な言動について、どこがよかった悪かったと指摘すべきだということだ。
かのドラッカーは「マネジメントは共通の目的に対して働き掛けること」だと言った。外国人を含む若手をチームで育てるためには、そのマネジメント力が試されている。