昨年6月、安倍政権の新成長戦略によって、外国人労働者の受け入れ拡大が決定した。
具体的には、最長3年間「技能実習生」として働くことができる68職種に介護福祉や自動車整備などを加え、職種によっては滞在期間を3年から5年に延長する。また、東京五輪の開催準備などで高まる建設需要に対し、20年までの期間限定で建設業と造船業での受け入れ期間を5~6年とする、などだ。
労働者派遣法改正案やホワイトカラー・エグゼンプションなど、2014年から引き続き議論がされるテーマに加え、働き方もより多様化が進みそうだ。
キーワードを挙げながら、2015年の雇用と労働を読み解いた。
昨年6月、安倍政権の新成長戦略によって、外国人労働者の受け入れ拡大が決定した。
具体的には、最長3年間「技能実習生」として働くことができる68職種に介護福祉や自動車整備などを加え、職種によっては滞在期間を3年から5年に延長する。また、東京五輪の開催準備などで高まる建設需要に対し、20年までの期間限定で建設業と造船業での受け入れ期間を5~6年とする、などだ。
この建設業と造船業においては、同じ技能を持つ日本人と同等以上の給与の保証が企業に義務付けられた。
濱口氏はその背景として「深刻な労働力不足だけでなく、外国人労働者の日本離れによるところも大きい」と指摘する。「これまで多くの労働力を送り込んできた中国とブラジルが飛躍的な経済成長を遂げ、日本との賃金格差が縮まる一方、日本では依然として未払い賃金や単純労働の強制といった環境面での問題が後を絶ちません。また、例えば韓国では10年以上前に、労働者不足の企業に外国人の就業を最長で10年認める制度が導入されるなど、世界的に見ても人財獲得の面で日本は遅れをとっています」
その根幹にあるのが移民問題だ。日本では専門職や日系人ら一部を除き、発展途上国へ技能を伝承するための「実習」という名目や「留学」の傍らで働くことを認めているだけ。 「日本の方針には、移民は絶対認めないが外国人労働力を安価で調達したい、というジレンマが見え隠れします」(濱口氏)
外国人労働者を「選ぶ立場」から「選ばれる立場」となった日本。政策の根幹が問われている。
profile
東京大学法学部卒。
労働省(現厚労省)入省。
東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法政国際センター客員教授、政策研究大学院大学教授などを経て現職。専門は労働法政策。近著に『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)。
profile
東京大学工学部卒。東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。製品開発・マーケティングなどの分野で戦略策定、業務改革計画などコンサルティングを手がける。著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)など。