新卒採用の最終選考がインターンシップ
インターンシップを新卒採用の選考に直結させている日本企業は、今のところ一部に留まる。そんななか、15年以上も前から完全採用直結型のインターンシップを実施しているのがメルセデス・ベンツ日本だ。
同社人事部マネージャーの島田千恵子氏は、インターンシップ導入の経緯をこう語る。
「入社3年後の離職率が注目されていますが、当社もかつては一定数の離職者がいました。そこで、選考の段階でできる限り学生と業務内容の適正を見極め、ミスマッチを減らし、離職率を下げたいと考えました。また他社との人財獲得競争が厳しくなるなかで、学生にとってより魅力的で、独自性のある採用方法を打ち出したかった。こうした背景から、1999年にインターンシップを導入しました」
採用の大まかな流れは下図の通り。書類選考や一次選考を通過した学生だけがインターンシップに参加できる。部署別採用制度をとっており、インターンシップも部署別に行われる。そのため、学生は入社したら自分が所属することになる部署で、実際の業務を約2週間にわたり体験する。
「新入社員同然の扱いで、データ集計のような事務作業のほか、部内会議に出席して意見を求められたり、商談に同行したりします。サポートする社員も学生一人に対して一人をアサインするなど、受け入れ態勢もしっかり整えます」
期間中に課題を与えられ、それに対して学生は最終日にプレゼンテーションをして、終了となる。同社は2014年に最終面接を廃止しており、インターンシップが最終選考にあたる。最終判断は人事部ではなく、各部長が学生のインターンシップでの活動を総合的に判断し、採用・不採用を判定するのだ。