これは企業側も熟慮すべき課題だと思います。欧米では、すでに多くのミレ二アル世代が、グローバル組織でもローカル組織でもリーダーシップをとる役割に就いています。この世代は、タイトルや昇進ということよりも、社会に価値を提供することで貢献したい、パーパスを大事にしたい、家族との時間も大事にしたい、といった思いが強い世代と言われています。そういった若いリーダーのなかでは、直接的に社会を変えることはできないにしても、自身が率いている会社のなかで、実験的に先進的な事業モデルを築いて、働く人にとっても、顧客にとっても、社会にとっても高い価値を提供していく。そしてその取組みを広く発信することを通じて、間接的に社会に影響を与えていって、より良い未来につなげたいと考えているリーダーもいます。
私の母方の祖父は大学の教員でした。母が実家にいた頃は、日夜、学生たちが集まって、にぎやかに議論を戦わせていたそうです。しかし、今の大学生は就職活動競争の激化、早期化などもあって、次のステップに進むのにつながるわかりやすい価値や意味を追い求めがち。議論についても、「その議論は何のためにするのか」という目的を真っ先に考えてしまいがちです。目的ありきの議論から生まれる価値には面白みがないように感じています。